モトローラ、「razr」新機種で大規模プロモーションに舵を切ったのはなぜ?
そして今回、同社は若い世代に人気のある目黒さんの起用を打ち出したことで、若い世代を中心にブランド認知を高め、日本市場で勝負をかけようとしている様子が見て取れます。 しかしなぜ、同社は今のタイミングで勝負をかけようとしているのでしょうか。そこにはソフトバンクとの関係の深化が大きく影響しているでしょう。 実は2023年、ソフトバンクから販売されたモトローラ・モビリティのスマートフォンは、motorola razr 40とエントリークラスの「moto g53y 5G」の2機種のみ。日本市場を狙って開発されたとみられる、売れ筋のミドルクラスとなる「motorola edge 40」がソフトバンクに採用されなかったため、フルラインアップの供給とはなりませんでした。 ですが、2024年はエントリーモデルのmoto g64y 5Gに加え、ミドルクラスの新機種であるmotorola edge 50s proをソフトバンクに供給できました。それに加えて今回、motorola razr 50sを供給したことで、ある意味ソフトバンクからフルラインアップを提供できる体制が整ったわけで、それを機としてブランド認知を一気に高め、販売拡大につなげる策に出たといえます。
とはいえ、モトローラ・モビリティの販路が携帯大手3社のうち、まだソフトバンク1社に限られていることも事実です。1G時代、前身企業に端末を多く供給してきたKDDIや、2G時代にRAZRシリーズを供給していたNTTドコモへの端末供給はまだ実現できていないだけに、これら2社の開拓をいかに進めるかは引き続き大きな課題となるでしょう。 ただ、そこで気になるのが、2023年12月にモトローラ・モビリティの日本法人社長に就任した仲田正一氏が、2024年10月15日付けで退任することが発表されたこと。短期間での社長退任が、今後の販路開拓にどう影響するかは大いに気になるところです。
佐野正弘