日本軍「幻の戦闘機・烈風」をご存じか…? 海軍テストパイロットが明かした”最強傑作機”の「スゴすぎる実力」…!
太平洋戦争終結から今年で80年。戦争終結により間に合わなかった日本陸海軍兵器は多々あれど、その中で幻のMVPとも言われるのが海軍の艦上戦闘機「烈風」だ。実際、老舗軍事雑誌「丸」2月号が烈風を特集したところ話題を集めているほどだ。大戦に投入されることはなかったとはいえ、試験飛行ではテストパイロットからも高い評価を得ていたという。元海軍少佐でテストパイロットを務めた志賀淑雄氏が約60年前に同誌に寄せた貴重な手記を一部抜粋・再構成して、幻の傑作機の実力をお届けする。 【写真】軍事誌発「伝説の航空機本」、そのすごい中身を公開する…!
零戦の後継者を思わせる「クセのない飛行機」
私が「烈風」とお付き合いを始めたのは、すでに計画審査を終わり、性能審議会が始まろうとしていた昭和18年の暮れごろであったと思う。そして空技廠から派遣されたテストパイロットとして、初めて「烈風」に試乗したのは、しばらくたった19年7月から8月にかけてのころだった。 さて実際に飛行してみてどうであったか。それを私の感じたままを述べてみよう。 まず、脚の引き込みのようす、フラップの入るときのもよう、諸舵の効き具合、操縦席からの視界の良否などについては、ほぼ予定どおりにできていて、なんの不満もなかったように思う。離陸、着陸の点についても、非常にスムーズで、さすが零戦の後継者を思わせるような、クセのない飛行機であった。
「これほど筋の良い飛行機もない」
だが反面、零戦のような手軽さが見られなかった。これは進歩からきた大型化の影響であろうが、久しく零戦になれ親しんだ者にとっては、いささか手ごわい相手といった感はまぬがれなかった。 しかし、全般的にいって、これほどスジの良い飛行機もなかったのではないかと思う。 しかし、この点はもっと考えても良いのではないかと思ったことが、2、3あった。 つまり、なにしろ大きい。果たしてこれで敵弾をさけることができるだろうか。防弾面もさほど考慮されてないし、機体が大型化すれば、それだけ被害面も大きくなることはわかりきっている。これを克服するには、身をかわす機敏性、シャープな運動性、それにも増してスピードがほしい。
設計者の堀越氏と議論、「大きすぎやしませんか?」
私がテストした当時は、まだハ-43が装備されていなかったせいもあろうが、こんな疑問もあった。 そこで、設計者の堀越氏によく言ったものだった。「大きすぎやしませんか?」と。 すると堀越氏は「空戦フラップで十分におぎなえるよ」と私の問いに答えていた。 私はそれでも、「空戦フラップと横の運動性とはちがうんじゃないか」などとさかんに口にしたものだった。 今から思えば、赤面のいたりであるが、あまりにもそれまでの既成観念で押しとおした感もあり、新しきものに対する心がまえに欠けていたようにも思え、今さらながら反省している。
潮書房光人新社
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