〈65歳の平均は約50秒〉片足立ちができないなら、疑うべきサルコペニア肥満、認知症…体の老化状況を把握する、診断の仕方
軽度認知症の10パーセントが認知症になる
私たちは、認知機能と片足立ちの時間との関連も検討しています。具体的には、抗加齢ドックを受診した人のなかで、明らかに脳血管疾患の既往がない390人を対象としました。 私たちのドックは健康な人が受診しており、認知症の人はいませんが、正常と認知症の中間と考えられる軽度認知障害と評価される人はいます。軽度認知障害と判定され、何もせずに経過をみると、10パーセントが認知症になるといわれます。 私たちは、正常と判定された人と、軽度認知障害と判定された人とで、片足立ちができる時間を比較しました。その結果、正常なグループでは平均50秒間できていましたが、軽度認知障害のグループでは40秒程度になっていました。 MRI(磁気共鳴画像)で脳の縮み具合(萎縮度)をみると、萎縮度が強い人は片足立ちの時間が短くなっています。そこで、外来を受診中のアルツハイマー病の患者さんに片足立ちの時間を測定してもらうと、平均して20秒未満という結果が出ました。 文/伊賀瀬道也 イラスト:瀬川尚志 写真/Shutterstock
---------- 伊賀瀬道也(いがせ みちや) 1964年、愛媛県生まれ。1991年、愛媛大学医学部卒業後に第二内科(循環器)に入局。米国Wake Forest大学・高血圧血管病センター(リサーチフェロー)、愛媛大学大学院老年神経総合診療内科特任教授などを経て2019年4月より現職。約4000人のドック受診者に指導を続けており、抗加齢医学研究のトップランナーとして知られる。『長生き1分片足立ち』(文響社)、『1分ゆるジャンプ・ダイエット』(冬樹舎)などの著書のほか、「NHKスペシャル」(NHK)などメディア出演も多数。 ----------
伊賀瀬道也