今の時期限定、明るい星がつくる小さな三角形 さそり座周辺の星を観察しよう
さそり座とオリオン座の関係
子のいなかった農夫ヒリエウスが神様に息子が欲しいと願い、こうして生まれたのがオリオンでした。神のご加護を受けたオリオンは、みるみる成長し、当代一の狩人となりました。 狩人としての知名度が高くなると、オリオンは自分の力を自慢して見せびらかすように動物を殺し、乱暴者として恐れられるようになりました。その行いを見ていた大神ゼウスのお妃ヘラは、猛毒を持つ大きなさそりをオリオンの近くに放ちました。そしてオリオンはさそりに刺されたのですが、大男にとっては蚊に刺されたかのような感覚だったので、気にもとめませんでした。しかし、痛みはなくとも毒は全身にまわり、オリオンは亡くなりました。そんなさそりを褒め称えて星座にしたとされています。 こんなことがあったため、オリオンは星座になってからもさそりが苦手でした。だから、夏の空にさそり座が輝いているときにはオリオン座は現れず、さそり座が西の空へと沈んだ後に東の空からオリオン座が姿を現すようになりました。冬の星座で有名なオリオン座ですが、さそり座とは真逆の季節だからこそ、冬は堂々と輝いているのでしょうね。本当に、さそり座が沈んだ後にオリオン座が見えるのか、ぜひ確かめてみてください。 さて次回は、さそり座の上に輝く名前は聞いたことがあるけれども本当の空では見つけにくい星座たちをご紹介します。 【連載】東京で見える星たち(葛飾区郷土と天文の博物館・湯澤真実)