第37回東京国際映画祭ラインナップ発表、菊地凛子がトニー・レオンとの交流を懐かしむ
第37回東京国際映画祭のラインナップ発表記者会見が、本日9月25日に東京ミッドタウン日比谷BASE Qホールで開催。フェスティバル・ナビゲーターを務める菊地凛子のほか、映画監督の片山慎三、大九明子、吉田大八、入江悠らが出席した。 【画像】第37回東京国際映画祭ラインナップ発表記者会見に登壇した菊地凛子 チェアマンの安藤裕康は、本映画祭の目標として「国際交流」「未来の人材育成」「女性の活躍支援」を掲げる。8月に日伊映画共同製作協定が発効されたことによって、マルチェロ・マストロヤンニやナンニ・モレッティの特集が組まれること、マストロヤンニの娘である俳優キアラ・マストロヤンニがコンペティション部門の審査員を務めることなどを明かした。 東京国際映画祭では今年から、女性監督の作品および女性の活躍をテーマとする作品にフォーカスを当てる部門ウィメンズ・エンパワーメントを新設。同部門のシニアプログラマーであるアンドリヤナ・ツヴェトコビッチは、各作品を選出する際の基準として「物語としてのパワー」「視点の多様性」「監督の明確なビジョン」の3つを挙げた。 菊地は「映画と一緒に育ってきました。このような大役が自分に務まるのかという気持ちもありますが、非常に光栄に思います」と挨拶する。これまで数々の映画祭に参加したことを思い返し、「映画祭に参加するのは、自分にとってご褒美をもらうような感覚。スタッフ・キャストと作り上げた作品で舞台に立つのは感慨深いものです」と言葉を紡ぐ。コンペティション部門の審査委員長を務めるトニー・レオンに関しては「大先輩ですね。とても気さくな方です。映画という共通言語を持ってお話しできることが宝物のよう」と述懐。そして“映画”という存在について「主人公と一緒に旅をして、人生を持って帰るような気持ちになります。私は映画からいろいろなことを学んで、今は(俳優として)出演することで恩を返している気持ちですね」と伝えた。 コンペティション部門には110の国と地域から2023本の応募があった。世界中から15本の作品が選ばれ、そのうち9本がワールドプレミアとなる。日本からは片山の「雨の中の慾情」、大九の「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」、吉田の「敵」が選出された。 片山は、自身の監督作「岬の兄妹」が上映された2018年の映画祭を懐かしみ「そこからほかの映画祭に呼ばれたりしたので、とても広がりのある場だなと思っています」とコメントする。「勝手にふるえてろ」「私をくいとめて」で過去に観客賞を受賞した大九は「すでに2回賞をいただいているので、まさかと思いました」と驚いた様子。今回ノミネートされた新作に関して「普段以上に言いたいことを入れて、わがままに作らせていただきました。どのように届くのか楽しみ」と期待を寄せる。そして吉田は、「敵」がモノクロで撮られたことに触れ「主人公のストイックな生活を描くのに、抑制的なモノクロがいいなと。初めての試みでしたが、観る側の想像力が最大限に持ち上がるというか、思っていた以上に豊かに感じましたね」と充実感をにじませた。 また、Nippon Cinema Now部門では入江が監督した5作品も上映。入江は出世作となった「SRサイタマノラッパー」が上映された2010年当時を「ジャージで登壇しましたね(笑)」と振り返る。そしてインディペンデント作品と大作の両方を監督していることについて「特集上映は(作品に)一貫性のある人が選ばれることが多いと思いますが、僕の場合はそれがないなと。飽きっぽいんですよね(笑)。大作をやると座組に飽きて、次はこぢんまりとやりたくなる」と告白した。 世界の映画界の潮流を示すワールド・フォーカス部門では、第81回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞に輝いたペドロ・アルモドバルの「ザ・ルーム・ネクスト・ドア(原題)」など28作品を上映。TIFFシリーズ特別上映では、ジャン=リュック・ゴダールがその死の前日に完成させた遺作「Scénarios & Exposé du film annonce du film “Scénario”」のアジアンプレミアも行われる。このほか日本映画クラシックス部門にて増村保造や高倉健の特集上映も開催。菊地、磯村勇斗、Netflixプロデューサーの岡野真紀子による「ウーマン・イン・モーション」といったトークやシンポジウムの企画も多数予定されている。上映作品やイベントのラインナップは下記の通り。 第37回東京国際映画祭は、10月28日から11月6日にかけて開催。チケットの先行抽選販売が9月29日23時59分まで行われ、10月19日より部門別に順次一般販売される。 ■ 第37回東京国際映画祭 2024年10月28日(月)~11月6日(水)東京都 日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区 □ オープニング作品 ・「十一人の賊軍」 □ クロージング作品 ・「マルチェロ・ミオ」 □ コンペティション ・アディオス・アミーゴ(製作:コロンビア / 監督:イバン・D・ガオナ) ・小さな私(製作:中国 / 監督:ヤン・リーナー) ・死体を埋めろ(製作:ブラジル / 監督:マルコ・ドゥトラ) ・士官候補生(製作:カザフスタン / 監督:アディルハン・イェルジャノフ) ・娘の娘(製作:台湾 / 監督:ホアン・シー) ・英国人の手紙(製作:ポルトガル / 監督:セルジオ・グラシアーノ) ・彼のイメージ(製作:フランス / 監督:ティエリー・ド・ペレッティ) ・雨の中の慾情(製作:日本、台湾 / 監督:片山慎三) ・わが友アンドレ(製作:中国 / 監督:ドン・ズージェン) ・お父さん(製作:香港 / 監督:フィリップ・ユン) ・大丈夫と約束して(製作:スロバキア、チェコ / 監督:カタリナ・グラマトヴァ) ・今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は(製作:日本 / 監督:大九明子) ・敵(製作:日本 / 監督:吉田大八) ・トラフィック(製作:ルーマニア、ベルギー、オランダ / 監督:テオドラ・アナ・ミハイ) ・チャオ・イェンの思い(製作:中国 / 監督:ミディ・ジー) □ アジアの未来 ・昼のアポロン 夜のアテネ(製作:トルコ / 監督:エミネ・ユルドゥルム) ・黒の牛(製作:日本、台湾、アメリカ / 監督:蔦哲一朗) ・冷たい風(製作:イラン / 監督:モハッマド・エスマイリ) ・ミッシング・チャイルド・ビデオテープ(製作:日本 / 監督:近藤亮太) ・幼な子のためのパヴァーヌ(製作:マレーシア / 監督:チャン・ジーアン) ・シマの唄(製作:スペイン、オランダ、フランス、台湾、ギリシャ、アフガニスタン / 監督:ロヤ・サダト) ・三匹の去勢された山羊(製作:アメリカ / 監督:イエ・シンユー) ・赦されぬ罪(製作:香港 / 監督:ジェフリー・ラム、アントニオ・タム) ・海で泳げない鯨(製作:アメリカ / 監督:ワン・ディー) ・春が来るまで(製作:イラン / 監督:アシュカン・アシュカニ) □ ガラ・セレクション ・ブラックドッグ ・エマニュエル(原題) ・リュミエール!2(仮題) ・ナイトビッチ ・オラン・イカン ・リアル・ペイン~心の旅~ ・ルート29 ・雪の花 ─ともに在りて─ ・劇映画 孤独のグルメ ・Spirit World(原題) ・サンセット・サンライズ ・トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 ・ホワイトバード はじまりのワンダー □ ウィメンズ・エンパワーメント ・徒花-ADABANA- ・10セカンズ ・イヴォ ・マイデゴル ・灼熱の体の記憶 ・母性のモンタージュ ・私の好きなケーキ ウィメンズ・エンパワーメント特別上映 ・劇場版ドクターX ウィメンズ・エンパワーメント シンポジウム:女性監督は歩き続ける ・映画をつくる女性たち □ ワールド・フォーカス ・ボーガンクロック ・ダホメ ・ダイレクト・アクション ・ファイヤ―・オブ・ウィンド ・スウェーデン・テレビ放送に見るイスラエル・パレスチナ 1958-1989 ・ラスト・ダンス ・陽光倶楽部 ・ファントスミア ・怒りの河 ナンニ・モレッティ監督特集 ・チネチッタで会いましょう ・親愛なる日記(レストア版) ・赤いシュート 生誕100周年 マルチェロ・マストロヤンニ特集 ・甘い生活 ・8 1/2 ・異邦人 ・ひまわり ・エンリコ四世 第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF ・孤独の午後 ・チェイン・リアクションズ ・キル・ザ・ジョッキー ・ペペ ・ザ・ルーム・ネクスト・ドア(原題) ・叫び メキシコの巨匠 アルトゥーロ・リプステイン特集 ・純潔の城 ・聖なる儀式 ・境界なき土地 ・深紅の愛(ディレクターズカット版) ・嘆きの通り □ アニメーション ・きみの色 ・数分間のエールを ・Flow ・化け猫あんずちゃん ・ギル ・クラユカバ ・ルックバック ・メイクアガール ・メモワール・オブ・ア・スネイル(原題) ・オリビアと雲 ・映画 窓ぎわのトットちゃん ・野生の島のロズ ・宇宙戦艦ヤマト 劇場版 4Kリマスター アニメ・シンポジウム ・アニメーション監督への道 ・日本アニメの新世代 ・「宇宙戦艦ヤマト」の歴史的意味 □ Nippon Cinema Now ・アイヌプリ ・あるいは、ユートピア ・Underground アンダーグラウンド ・くまをまつ ・雲ゆくままに ・港に灯がともる ・レイブンズ 入江悠 監督特集 ・SR 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・ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ □ 東京国際映画祭 屋外上映会2024 ・ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE ・ミッション:インポッシブル ・ワイルド・スピード/ファイヤーブースト ・ワイルド・スピード ・さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち ・「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択 ・ヤマトよ永遠に ・ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略 ・イージー★ライダー ・タクシードライバー ・未知との遭遇(ファイナル・カット版) ・クレイマー、クレイマー ・トッツィー ・ナチュラル ・ゴーストバスターズ ・セント・エルモス・ファイアー ・スタンド・バイ・ミー ・ベスト・キッド3 最後の挑戦 ・マイ・ガール ・フック ・ア・フュー・グッドメン ・バッドボーイズ ・ザ・エージェント ・メン・イン・ブラック ・グリーン・デスティニー ・ダ・ヴィンチ・コード ・アメイジング・スパイダーマン ・ゴーストバスターズ/フローズン・サマー □ TIFF/NFAJ クラシックス 映画監督 吉田喜重 ・ろくでなし ・血は渇いてる ・秋津温泉 ・嵐を呼ぶ十八人 ・情炎 ・炎と女 ・エロス+虐殺 ・戒厳令 ・BIG-1物語 王貞治 ・人間の約束 ・愛知の民俗芸能-聖なる祭り 芸能する心- ・愛知の民俗芸能-聖なる祭り 芸能する心- ・鏡の女たち □ その他企画 ・国際交流基金×東京国際映画祭 co-present 交流ラウンジ ・【TIFF×STORY STUDY トークイベント】「アニメーションの中の街」(仮) ・「PFFアワード2024」グランプリ受賞作品上映 ・ケリング「ウーマン・イン・モーション」 ・MPAセミナー ・SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024」受賞作品「嬉々な生活」上映 ・日本映画監督協会新人賞 上映とシンポジウム「遠いところ」 ・日比谷シネマフェスティバル ・TIFFCOM 2024