「真っすぐ動くのはヘッドでなくシャフト」日本では珍しいパット専門コーチの教えVol.3
日本ツアーの現場では徐々に専門分野に特化したコーチが存在感を出しつつある。パッティングコーチの丸山颯太氏は、大卒から2年にして経験値はすでに高く、プロのシード選手を何人か抱えている。同業のコーチ向けに行われた丸山氏のパッティング講座に潜入。いささか難解ではあるが、アマチュアにとっても攻略のヒントになるかもしれない。(最終回/全3回) 【画像】松山英樹も練習器具を使います
◇◇◇◇◇ パッティングのコーチングとして、テーマに挙がるのは以下の7項目。今回は「ストローク」から説明します。 1. 打ち出し方向(ダイレクション) 2. エイム(向き) 3. スピード(距離感) 4. ボールの転がり&スピン 5. ストローク 6. クラブフィッティング 7. グリーンリーディング(ライン読み)
真っすぐ動くのはヘッドではなくシャフト
続いて「ストローク」です。 ストロークの話をするときに、僕は必ずクラブの動きを説明します。ゴルフ量販店で売っているパターのほとんどが、ライ角が70度に近く、シャフトには20度のプレーンの傾きができます。そうなるとストローク中はアーク(円弧)が発生するのが自然。「ヘッドは真っすぐ動かすべき」と言う方が多いのですが、「ライ角通りにストロークすると、ヘッドは円弧を描く」ということを最初に理解してもらいます。 ヘッド軌道に対してフェース向きをコントロールするべきであり、ロフトもコントロールしなければいけません。ストローク中は「フェース」「ロフト」「ライ」この3つのローテーションをコントロールすることが大事になります。イップスになったり、手に違和感を覚えるゴルファーは、だいたいストローク中にこの3つのローテーションが複雑に入り混じって動く。では、この3つのローテーションを一つずつ解説していきましょう。
まずは「フェースのローテーション」です。シャフトが回転することによってフェースの向きは変化します。自らシャフトを回転させて、シャフトがねじれてフェースが極端に開閉するのは避けたいのですが、実際には必要以上にフェースをローテーションさせてしまう人が多い。 続いて「ロフトのローテーション」。これはシャフトの傾きによって起きます。パットは振り子運動なので、シャフトが目標側に傾けばロフトは下を向き、その逆であればロフトは上を向きます。 最後の「ライ角のローテーション」はストローク中に起きるタテのねじれ。パットが苦手な人のエラーとして一番多いのがこのライ角の変化です。「テークバックが上がらない」という女子プロは多いですが、そういう方はだいたい地面に対してグリップに圧をかけて構え(手元が低くなる)、始動でヘッドが外側に上がりやすい状態を作っています。 つまり、アドレスで自らパターのライ角を変化させている。クラブの動きがタテ向きになるので振り幅も大きくはできず、ロングパットでテークバックの距離が足りずに急激な加速をしてインパクトの帳尻を合わせるケースが多い。クラブの動きも体の動きもスムーズではなく、軌道もぐちゃぐちゃで打点もバラバラ。アタックアングルも鋭角になり、ボールの打ち出しが地面に打ち込むような形になります。そうなるとボールの転がりも悪くなります。