走行中にふと感じる! 雨が降る前の匂いの正体とは
この匂いって雨が降る前兆!?謎の匂いの正体とは
6月は全国的に梅雨入りが発表される季節。ところで雨といえば、どこからともなく漂ってくる「雨の匂い」を感じたことはないでしょうか。たとえば、ツーリング中に雲行きがあやしくなり、雨が降る前に独特な匂いを感じたことがある人も少なくないかもしれません。 【画像】雨が降る前の匂いの正体を画像で見る(10枚) しかし、そもそも水にはなんの匂いもなく、基本的には無臭のはずです。では、雨が降る前に感じるあの匂いの正体は、いったい何なのでしょうか。
雨が降る前の匂いの感じ方は人によって違うようで、草の生臭さであったり、泥水のような匂いであったりとさまざま。しかし雨そのものには匂いはなく、じつは雨によって湿度が上昇したときに地中から発生する化学物質が匂いのもととなっています。 この雨の匂いは「ペトリコール」と呼ばれる成分で、ギリシャ語で「石のエッセンス」を意味します。ペトリコールは、1964年にオーストラリアの2人の鉱物学者によって定義された造語。彼らがネイチャーに発表した論文では、「長い間日照りが続いた後の最初の雨にともなう独特な匂い」をペトリコールと定義しています。 ちなみに、ペトリコールの語源は、ギリシャ語で岩を意味する「ペトラ」と、血のような物質でギリシャの神々の血管を流れていたとされる「イコル」が合わさってできた言葉とされています。 ただ、匂いを生み出しているのは岩でなはなく、主に植物によってもたらされているようです。 雨が降らず乾燥した状況が続くと、ある一定の植物は自らの種子を守るために脂肪酸を豊富に含んだ油分を地中に放ちます。この油分は、パルミチン酸やステアリン酸といった食料品の原料の成分として使われているもの。植物は雨が降らずに乾燥している時に、これらの酸を放出して、地中のほかの種子が発芽するのを抑えて、水を奪い合う相手を減らしているといわれています。
晴れているときに油分は地中にだんだんと溜まっていきますが、匂いを発生させることはありません。しかし、雨が降って乾いた地面や岩石に雨粒があたると、蓄積されていた植物の油分が、エアロゾルと呼ばれるごく小さな気泡と一緒に空気中に放出されます。 このエアロゾルは、植物の油分のほかにも、排ガスの成分やほこりに含まれるカビなどが混ざり、アスファルトの熱で気体になったもの。これらの地面の中の成分が一緒に放出されることで、雨が降った後に独特な匂いを発生させているというわけです。 それなら雨が降った後に匂いを感じそうですが、雨が降る前にも不思議と匂いを感じることがあるのは、いったいどうしてなのでしょうか。 これは、ほかの場所で降った雨によって、匂いを含んだエアロゾルが風にのって運ばれて、雨がまだ降っていない地域に流れてくることが要因だと考えられています。