パニック買いでビットコインが4万2000ドルに上昇──暗号資産全体の時価総額が1兆5000億ドル超える
ビットコイン(BTC)は4日は、一部の「パニック買い」に刺激され、4万2000ドル(約609万円、1ドル145円換算)を超える19カ月ぶりの高値を更新した。金利低下への期待やビットコイン現物ETFをめぐる決定が差し迫っていること、デジタル資産ファンドへの資金流入が暗号資産市場の支えとなった。 ビットコインは、11月の大部分の期間で上値を抑えていた3万8000ドルの重要な抵抗線を突破した後、週末にかけて急速に値動きした。 4日午後遅くには過去24時間で5.8%上昇し、4万2000ドル付近を維持していた。 その他の暗号資産は出遅れ、イーサリアム(ETH)、ビルドアンドビルド(BNB)、カルダノ(ADA)はこの日2%~3%上昇したが、エックス・アール・ピー(XRP)は横ばいだった。暗号資産市場全体のパフォーマンスを示すCoinDesk Market Index(CMI)は4.2%上昇した。 トレーディングビュー(TradingView)のデータによると、ビットコインの上昇により、暗号資産市場全体の時価総額は、テラ(Terra)エコシステムの崩壊により暗号資産の冬が始まった2022年5月以来初めて1兆5000億ドル(約217兆5000億円)を超えた。
ビットコインが上昇した理由
ビットコインの上昇は依然としてアメリカのビットコイン現物ETF(上場投資信託)への期待が牽引しており、市場関係者の中では、1月初旬に米証券取引委員会(SEC)による承認が行われることを期待する見方が圧倒的だ。 暗号資産サービスプロバイダーのマトリックスポート(Matrixport)は4日のレポートで、ビットコインの現物に対する無期限先物のプレミアムの水準が上昇していると指摘し、トレーダーが価格上昇の「FOMO」(機会を逃すことへの恐怖:fear of missing out)を恐れてビットコインに殺到したことを示唆した。 レポートは、「トレーダーは十分な価格上昇方向へのレバレッジを持っていない。これは無期限先物が取引されているプレミアムの上昇からの結論だ」と指摘。無期限先物は、今年のほとんどの期間で現物価格に対して約5~10%のプレミアムで取引されていたが、その幅は10~15%に拡大し、時には20~30%に達することもあったと説明した。 マトリックスポートのアナリストらは、「これは、ショートを手仕舞ったり、レバレッジを効かせたロングを増やしたりしているトレーダーによるパニック買いを示している」と述べた。 ヨーロッパ最大級の資産運用会社コインシェアーズ(CoinShares)の最新のファンドフローレポートによると、投資家が暗号資産ファンドへの資金投入を止める兆候はないという。先週は1億7200万ドルの純流入があり、10週間連続の流入超過で合計の純流入は17億ドルに達した。 マクロ経済環境もビットコインの価格上昇を支えている。暗号資産運用会社ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のデジタル資産投資担当リサーチ責任者であるアレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は電子メールで、「一部の米連邦準備理事会(FRB)当局者のハト派的な発言、ドル安、比較的堅調な国内指標が週末にかけて市場を押し上げた」と述べた。 市場参加者はFRBが来年利下げすることに賭ける見方を強めており、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールでは、5月までにフェデラルファンド金利が引き下げられる確率は86%となっている。