不登校者30万人の現実、“第3の居場所” フリースクールで学ぶ「社会を生き抜く力」とは?
“やりたい!”を実現した経験が自信に繋がる
フリーマーケット当日、ロータスのブースは子供たちのアイディアで溢れていた。咲希さんが出品したのは、お菓子やりんご飴などカラフルなミニチュア小物。さらに、姉弟3人で集めた様々な“キラキラ小物”を器いっぱいに詰め、金魚すくいのように遊んでもらう「キラキラすくい」も用意した。
人とのコミュニケーションが苦手な咲希さん。ブースに立つ表情には、どこか緊張が滲む。そんななか、イベントの司会者が咲希さんにマイクを手渡し、出店内容の告知を依頼。マイクを受け取った咲希さんは、「今ここで、「大地の学校 ロータス」というフリースクールで、フリーマーケットをやっているので是非来てください」とはっきりとした口調でブースをアピール。少し照れた笑顔を浮かべながら、マイクを司会者に戻した。
咲希さんの堂々と話す姿に驚いたのは、今井さんと母・恵巳子さん。今井さんは、「急にパッとマイクを向けられても、普通にロータスの紹介ができていた。本当にたくましい」と咲希さんの様子に笑みを浮かべた。恵巳子さんは「マイクを渡されて喋ると思わなくて、本当にびっくりしちゃって、この一年であの子(咲希さん)が一番成長した。ありがたい、本当にありがたい」と娘の成長を喜んだ。 その後も、「どうぞ、ありがとうございます!」と元気よく、お客さんに商品を手渡していく咲希さん。「もう1800円も売れた!1800円だったら、3人で分けたら600円!600円だよ!」と、商品が売れた喜びをきょうだいと分かち合った。
強い心や力を育てるために、楽しい空間や時間をつくることは必要だ。やりたいことに全力で取り組んだ延長線上に、社会で自立する力や方法を身に付ける術があることを「大地の学校・ロータス」は教えてくれる。
社会人が“働き方”を選べる時代になったように、子供たちも自分に合った“学び方”を探すことができる時代になった。 そんな今だからこそ、子どもの個性に合わせ、一人一人が成長できる「居場所」を整備すること。そして、“やりたい!”を実現した経験を自信に繋げられる「場所」をつくることが、子供たちの元気な心と明るい将来を築いていくのだろう。