学生マルシェを手助け 路線バスで地元野菜お届け 横浜市、JA、東京農業大など
直売所から売れ筋商品
JA横浜、横浜市交通局、一般社団法人スマートニッチ応援団は、東京農業大学の学生がマルシェで売る野菜の集配送に路線バスを利用する実証実験を始めた。乗客と野菜を一緒に載せる「貨客混載」で、直売所から横浜駅まで運ぶ。輸送効率を高めて脱炭素化を進め、地産地消の促進とにぎわいの創出を狙う。 【役割分担を表で見る】 実証は、市交通局の「路線バスを用いた貨客混載事業」で行う。毎月第2・4土曜日に市営バス82系統で乗客が比較的少ない午前の1便を使う。 JA「ハマッ子」直売所メルカートかながわ店の職員が出荷物から売れ筋を選び、44リットルの保冷バッグ2個に入れる。学生がバッグを引き取り、最寄りの停留所からバスに積載。同乗して5・1キロ先の横浜駅西口まで運ぶ。 同応援団は販売機会を提供する。同大の学生は応援団が運営する屋外イベントに「大学マルシェ」を出店し、市内の農家から直接仕入れた野菜などと一緒に販売する。 大学マルシェは2022年から定期開催する。学生が農家を探し、一から信頼関係を築いて野菜などを仕入れる。同応援団は、大学生にビジネスの基本を学んでもらおうと活動を支援する。大学マルシェの売り上げの一部は、同応援団が手がける子ども食堂の運営費に充てられる。 市交通局は新たな地域貢献策を模索する中で、学生らがマルシェに出す野菜をレンタカーで集荷していると知った。路線バスの活用を働きかけ、JAも参画して昨年11月からテストを重ねてきた。 10人ほどいる学生スタッフの一人、中島優菜さん(20)は「これまでは集荷に時間がかかり余裕がなかった。事業がうまくいけばゆっくり準備でき、品ぞろえも充実してマルシェの質を上げられる」と期待を寄せる。 市営バス各系統で市内各所のJA直売所と主要駅をつなぎ、駅周辺で大学マルシェを開き、貨客混載で持続可能な地産地消モデルの実現を目指す考えだ。
日本農業新聞