<アニメータースキル検定>「このままでは手描きアニメが消えてしまう」 現場レベルの改革と健全化を目指す
「半年くらいで辞める人も多く、5~10人に1人くらいしか残りません。ベテランと新人が多い業界なのですが、制作本数が増えた関係もあって、教える立場の人が忙しすぎて、教えることができません。若手は不安になって辞めてしまいます。本来であれば、30分のテレビアニメの原画は6、7人でもできるのですが、作画監督が7、8人いることもあります。上がってきた原画を作監がみんなで修正しているんです。修正をするからどんどん人が増え、時間も掛かってしまうという悪循環になっています。基礎ができている人が増えれば、原画のクオリティーがアップし、作監を増やさなくても回るようになり、作業時間も短縮できます」
本来であれば、制作しながら新人を育成していかなければいけないが、難しいのが現状だ。新人が分からないまま仕事をしていると、不安になるかもしれない。新人がスキルアップできず、定着しないのが業界の大きな問題になっているという。
「アニメーターは絵が描けるだけではできません。撮影指示、動画なども理解して、アニメ制作の工程の知識が必要です。昔は先輩に教えてもらっていたのですが、今は学ぶ機会も少ない。最低限の知識があってから業界に入った方が、スムーズに仕事ができるようになるはずです。検定によって、現場レベルのことが学べるようにしていきたい」
◇今が最後のチャンス アニメーターの底上げを
アニメータースキル検定は、アニメーターはもちろん、制作や監督志望の人、アニメファンなどに向けて動画の技術と知識を測る。アニメーターのスキルの土台、動画の基礎であるトレスとタップ割りの技術を測るトレス・タップ割り検定の6級、5級の検定を11月9日に東京、大阪、名古屋、福岡、新潟で実施する。6級は原画トレス、5級は目パチ口パクが課題となる。全ての受検者の回答をプロのアニメーター、動画監督が採点し、フィードバックを含めて受検者に返送する。検定の公式テキストが9月上旬に発売される。活動費用のためのクラウドファンディングも実施中。