月ごとに振り返る 日本の鉄道2014年(鉄道ライター・伊原薫)
交通科学博物館の閉館、JR江差線一部廃止
■4月:交通科学博物館閉館 1962年の開設以来52年にわたり、鉄道ファンはもちろん子供から大人にまで愛されてきた、大阪・弁天町の「交通科学博物館」が、その歴史に幕を下ろしました。閉館を前に様々な企画展が実施され、累計来場者数は1800万人を突破。最終日となった4月6日には1万人を超える来場者が、0系新幹線や名物の大ジオラマに別れを惜しんでいました。ここで展示されていた車両の大半は、2016年春にオープン予定の「京都鉄道博物館」へ移設される予定で、すでに一部の車両や展示物が運ばれています。 ■5月:JR江差線一部廃止 JR江差線のうち、非電化区間である木古内~江差間が5月11日をもって廃止されました。平行する国道などが整備され、末期は1日6往復のワンマン列車が走る閑散路線でした。残った五稜郭~木古内間は、現在は本州と北海道を結ぶメインルートとして多くの特急列車が走っていますが、2016年3月の北海道新幹線開業後は第三セクター「道南いさりび鉄道」へ経営が移管されます。 ■6月:JR四国8600系運転開始 JR四国が21年ぶりに製作した特急電車8600系が営業を開始。「レトロフューチャー(前世紀の近未来デザイン)」をテーマに、どこか懐かしさを感じさせる独特の前面形状は、JR四国の社員が車両メーカーと共にデザインしました。2両編成2本の4両が導入され、2000系気動車を置き換える形で特急「いしづち」として運転されています。四国では、このほかにも0系新幹線車両をイメージした「鉄道ホビートレイン」や、伊予灘を眺めながら食事が楽しめる「伊予灘ものがたり」がデビューするなど、注目を集めています。
阪急電車が阪神の線路を走行!?、JR山口線が運転再開
■7月:阪急電車が阪神の線路を走行!? 子会社・能勢電鉄へ譲渡された阪急電車の車両が、なんと深夜に阪神電車の線路を走行。阪神電鉄の車両工場で改造するためで、その後しばらくは阪神電車と阪急電車が並んで停められ、ホームから見ることができました。阪急電鉄と阪神電鉄はグループ会社であり、また線路もつながっているとはいえ、阪急電車が阪神線に乗り入れたのは今回が初めてのことで、大きな話題となりました。 ■8月:JR山口線が運転再開 昨年の台風で大きな被害を受け、一部区間が普通となっていたJR山口線の復旧工事が終わり、8月23日に全線で運転を再開しました。「SLやまぐち号」も通常運転に戻り、真新しい築堤が復旧された名撮影地では多くの鉄道ファンがカメラを向けました。先の7月には三江線の不通区間も復旧され、JR西日本の線路は再び元通りとなりました。 ■9月:「日本一短い鉄道トンネル」廃止 八ツ場ダムの建設に伴い、JR吾妻線の岩島~長野原草津口駅間が新線へと切り替えられることとなり、9月24日をもって旧線での営業が終了。この区間にあった「日本一短い鉄道トンネル」樽沢トンネルも廃止されました。長さ7.2メートルと一般的な鉄道車両の約3分の1の長さで、観光名所としても知られており、廃線前には多くの人々がその姿をカメラに収めていました。