「名字選ぶ自由与えないのか?」国連委の問いに“チグハグ答弁”…選択的夫婦別姓が求められる“日本ならではのワケ”
■委員長の姿に見た“インクルーシブ”な社会
庭野:今後、日本には、勧告を含む最終見解が委員会から出されます。これも日本だけではなくて、各国それぞれに出されるもので、10月中にも出るとされています。差別撤廃の取り組みについて委員長は「是正の期日を盛り込むので、注目してください」と、あえてクギをさしていました。 その場面で、委員長の手元には資料というか、白いものがあって、それが“点字”だったことに気がつきました。視覚に障害がある方でした。その方が国連の女性差別撤廃委員会の委員長であるということが、誰もが平等な社会、インクルーシブや多様性ということを体現しているなと実感しました。 白川:リーダーといったときに、男性だけじゃなく女性を想像するということは、少しずつ我々も癖づいてきたとは思いますけど、障害がある方というのは正直、想像していなかった部分もある。これも“アンコンシャスバイアス”かもしれないですね。点字で資料が用意されるっていうことがあれば、全く同じようにバリアフリーに働けるはずなんですよね。
■名字で呼び合う日本 変えたくない姓…海外よりも“深刻”
庭野:委員会の翌日、日本への選択的夫婦別姓の導入を求めるNGOの方々などが会見を開いたんですが、「政府の回答がいつものものであり、とても建設的対話とは言えなかった」と失望していました。 日本は、海外よりも名字で呼び合うことが多い。個人を名字で呼び合うなかで、やはり名字を変えたくないという気持ちを持っていて、「大変ささやかな願いではあるけれども、それを私たちは求めてきた」という部分は、なるほど、と思わされました。 白川:確かに!海外の人よりも深刻なんですね。 庭野:いまは“強制的夫婦同姓”で、結婚すれば、全ての夫婦が同姓になる状況。そんな中、「選択する余地をくれないか」と訴えているんです。同姓に納得している人や、これから同じ姓になることで幸せを感じる人たちを、どうこうしようという話ではないと制度導入を求める人たちは説明しています 。 中絶やジェンダーの取材を通じても思いますが、大切なのは、本人が選択できるということ。昔は方法もなく、泣き寝入りした人もいるかもしれませんが、今はいろんな選択肢があります。選ぶかどうかは別として、選択できるかどうかが、本当に豊かな社会につながると改めて思います。
■Talk Gender~もっと話そう、ジェンダーのこと~
日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。 “話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか? 番組ハッシュタグ:#talkgender