半端ない専門知識を振りかざすさまが爽快 イタリア発コメディが面白い
有能だが高校教師に甘んじる理系学者が純度の高いドラッグを製造し、巨万の富を手に入れるというストーリーで大人気となった前作『いつだってやめられる 7人の危(アブ)ない教授たち』。続く第二弾『いつだってやめられる 10人の怒(イカ)れる教授たち』は、強烈な教授が3人増えてパワーアップしている。
専門知識を振りかざす10人の研究者 大真面目なところが笑いを誘う
シドニー・シビリア監督は、前作からのパワーアップをこう説明する。 「新たに加わった3人は、臨床経験はなく、患者を診たり治療したりはできないけれど、人体を知り尽くしている理論解剖学者と高性能武器を開発するメカトロニクス・エンジニア、そして研究者たちの弁護を担当する教会法学者です。実社会ではどう役に立つのかわからないけれど、すごい知識を持った人たちです。教会法学者って何するんだろうって感じでしょう? でも、本当にいるんだよ」 シビリア監督は実在する研究者たちに会い、そのキャラクターを作り上げていったという。前作に引き続き、主人公の神経生物学者、ピエトロ・ズィンニ(エドアルド・レオ)をはじめ、計算科学者、古典考古学者、動学マクロ経済学者、解釈論的記号学者、ラテン碑銘学者、文化人類学者も大活躍している。一人ひとりでは、絶対にヒーローになれないタイプの冴えない教授たちだ。
今回はズィンニがドラッグ製造で逮捕され、獄中で警察と奇妙な取引をするところから始まる。合法ドラッグの取引を非合法化するために、その成分を分析し、捜査に協力して成功すれば、無罪にするという内容だ。才能がありながらチャンスがなく活躍できない、専門分野に秀でた研究者たちを誘いチームを結成し、ドラッグの分析などから、続々誕生する合法ドラッグの製造元を探し当てていく。 実生活ではなかなか役に立ちそうもない専門知識と無駄に明晰すぎる頭脳は、10人集まれば最強の集団になる。お互い認め合ったかと思えば、プライドの高さや意見の違いからぶつかり合うことも。友情のような奇妙な仲間意識も芽生えてくる。 無理にウケを狙わずしても、真面目に専門知識で、直面しているヤバい状況を(偶然にも)打破してしまうところが、とにかく大爆笑。頭だけが良すぎて、パパっと難しい化学式を書き始めたり、古代ローマ帝国時代の地理に詳しかったりなど、ちょっとしたことを専門分野に結び付けて、いきなりスイッチが入ってしまうところは、勘違いなのかもしれないがカッコいいとさえ思えてしまう。