シナーのドーピング問題、裁定は年明けに WADA
【AFP=時事】男子テニス、世界ランキング1位のヤニック・シナー(23)のドーピング問題に関し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定が「年内に下る見通しは何もない」と、世界反ドーピング機関(WADA)のオリビエ・ニグリ事務総長がAFPのインタビューで語った。 【写真特集】コートの外のテニス選手~試合中とは違う表情 今年の全豪オープンと全米オープンの覇者であるシナーは、3月に行われた検査で禁止薬物のクロステボール代謝物に2度の陽性反応を示したが、処分は科されずプレー続行が許された。 8月末には、テニスの不正監視団体ITIAから要請を受けた第三者機関が、シナーに「過失や不注意は何もなかった」と結論づけた。 シナーは切り傷の治療薬が入ったスプレーを使用した理学療法士からスポーツマッサージやスポーツセラピーを受けた際に薬物が体内に混入したと主張し、ITIAもこの説明を受け入れた。 一方、WADAはシナーの無罪放免に不服を唱え、最大2年間の出場停止処分を求めている。 ニグリ氏は、「シナーに何も過失はないと判断されたが、それでも選手には周囲に関する責任があるというのが、われわれの立場だ」「従ってこれが争点となり、(CASで)議論される」とし、「汚染の可能性は否定しない。しかし、われわれは規則の適用が判例に合致していないと考えている」と明かした。 先月には、女子世界2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)が8月に行われた競技外検査で狭心症の治療薬トリメタジジンに陽性反応を示したとして、1か月の出場停止処分を受けた。 ITIAはシナーとシフィオンテクの薬物陽性公表の遅れを批判されているが、これについてニグリ氏は、「選手は保護される必要がある」とし、「個人的には、選手の評判を守ることが最優先事項であるべきだと思う」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News