公立小学校の記録映画が海外で大反響 日本人を作る「特別活動」に世界が注目 近ごろ都に流行るもの
日本的な行動の芽が見られることにも刮目(かつもく)だ。校庭を眺めながら「あ、マスクしてない。よくないわ」「よくないね」とつぶやき合う6年生、教材を無くし泣きべそをかいている子をみんなでなだめて探してあげる1年生の姿は、空気を読む同調圧力と、災害時に一致団結する国民性と重なる。「日本の集団性の強さと協調性は、もろ刃の剣」という国学院大・杉田洋教授の教諭たちへの言葉も映画に織り込まれた。
「正解は提示できない。でも、電車が時間通りとか街が清潔とか、海外から称賛されているのに、日本人全体の幸福度が低いのはなぜかなと思っている。私たちはもっと自信を持っていいのでは」と山崎監督。
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前作は、平成30年の第100回全国高等学校野球選手権記念大会出場を目指す、横浜隼人(神奈川県)水谷哲也監督とまな弟子の花巻東(岩手県)佐々木洋監督の2人を軸に、控えも含めた球児らの汗と涙と成長に密着。同大会決勝で敗れた金足農(秋田県)の旋風も独自の観点で編集した。
「桜が一瞬だけ咲いて散っていくような青春のはかなさ。勝者よりも敗者に心を寄せる日本人の感性を、ベースボールではない高校野球を通じて伝えたかった」。「KOSHIEN」は日本社会の縮図として、米国スポーツ専門チャンネルESPNで全米放送されるなどの反響を呼んだ。第3弾は、日本企業への長期取材を構想中。「日本人のリアルを、世界に発信していきたい」
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「小学校~それは小さな社会~」は12月13日、東京・シネスイッチ銀座を皮切りに順次全国で公開される。本作の原題(英文)は「The Making of a Japanese」。世界が関心を持つ、日本人の成り立ち。当事者としてどう鑑賞しますか? (重松明子)