日銀・黒田総裁会見1月21日(全文1)これまでの金融市場調節方針を維持
政策の効果がコストを上回っている
このようにスウェーデン中銀を含めて、先進国の中銀が2%の物価安定目標を目指して金融政策を行っているわけですが、わが国でも統計上のバイアス、それから将来における政策対応力とか、そしていわばグローバルなスタンダードになっているということから、長い目で見た為替レートの安定っていうものにも資するだろうということで2%の物価安定の目標を設定して、これに向けて金融政策を運営しているわけであります。 確かに低金利が長期化する場合に金融仲介機能に及ぼす影響など、政策のコストというか副作用というか、そういうものに留意が必要ではありますけれども、現時点では政策の効果がコストを上回っているというふうに私どもは判断しておりまして、日本銀行としては引き続き2%の物価安定の目標の実現を目指して、強力な金融緩和を推進していく方針であります。 幹事社:ありがとうございます。各社さんお願いします。
まだ看過できないような状況ではないとの認識か
日本経済新聞:日本経済新聞の【カメイ 00:12:30】と申します。今のマイナス金利で、金利仲介機能が損なわれている状況ではないということですが、一方で、低金利、家計とか年金とか生保の分野とかを通して、家計にも痛みを強いることになっているんですが、そこもまだ看過できないような状況には至っていないというご認識ということでよろしいですね。 黒田:その点は、もちろんマイナス金利を含めた低金利環境が長期化しますと、利子所得が下押しされるということを通じて家計に一定の影響を及ぼしているということは十分認識しておりますが、他方で、金融緩和の効果というものはやはり経済全体に与える影響を踏まえて評価する必要があるというふうにみておりまして、実際にも金利低下が経済活動を刺激して、雇用・所得環境の改善あるいは資産価格の上昇などを通じて家計全体にとってもプラスの効果を及ぼしているというふうに考えておりまして、当然この低金利環境が家計に及ぼす影響には注意が必要ですけれども、やはりマクロの経済の改善を通じて、そのメリットが国民全体に及ぶように、金融政策運営面から努めていくという考え方であります。