東大生レーシングドライバー「新原光太郎選手」の秘密に迫る
“二兎を追うもの”立場として
── 世間では、“二兎を追うものは一兎をも得ず”などと言いますが、新原選手のなかでは、これが“当たり前”だったようですね。
新原:いいえ。僕自身も両立するのが難しくて、レースを息抜きにして勉強をがんばるっていうのはがんばれるんですけど、問題なのが、レースウィークから帰ってきた後、それまでずっと勉強する習慣がついてたものがレースウィークですべて飛んでいくことでした。レースから帰ってきて、もう一回勉強する習慣を作るというかもう一回勉強(するモード)に入るということが一番大変でしたね。
── 今も学業とレースの両立を続けており、まだ道半ばだと思いますが、両立をがんばって続けてきたからこそ得られたメリットはなんだと思いますか?
新原:勉強とかそういうことに関してだけじゃなくて、切り替えがうまくなったんじゃないかなと思います。レースから帰ってきて勉強にシフトするタイミングとかであったり、勉強をしたいときに、完全に一気に切り替えができるっていうのは、一番大きなメリットじゃないかなと思います。
── どうやら、多くの人たちが過ごすであろう“ぐうたらな時間”は、新原選手の中にはないようですね。
新原:いやいやいや(苦笑)。僕もそういう時間が結構あるタイプだったので、そういう時間をなるべく削ろうというか、やり方をいろいろ考えたりしながら、やりくりができるようになったことが一番大きかったと思います。
── 2023年には、現役で東京大学に入学。その年は、ホンダ・レーシングスクール(HRS)に入校しました。そして今年はFIA-F4とHRSの両方に参加しています。その理由は?
新原:僕自身は去年のHONDAのスクール(HRS)を受けていて、去年はもうなんていうか、本当に人生をかけて決める(スカラシップを獲る)つもりで行ったんですけど、ギリギリ届かず敗退してしまって。で、今年も挑戦する機会をホンダからいただきました。 それでスクールに今年も挑戦することを決めたんです。一方、今年からFIA-F4(の車両)が変わったので、もし今年(F4に)乗ってなかったら、来年以降、不利になるだろうなっていう気持ちが強かった。そこにチーム(HYDRANGEA Kageyama Racing)の方にお声をかけていただいたのが決め手になりました。