琴桜が初白星も「先代の域にはほど遠い」「立ち合いではじき飛ばし圧倒的に勝つ」初代を目指せ…元大関・琴風の目
◆大相撲 ▽夏場所2日目(13日、東京・両国国技館) 琴ノ若から改名した大関・琴桜(26)=佐渡ケ嶽=が初勝利を挙げた。東前頭筆頭・熱海富士(21)=伊勢ケ浜=を肩透かしで下した。「琴桜」の白星は、元横綱の先代・琴桜が現役最後の白星を挙げた1974年春場所14日目(3月23日)以来、50年ぶりとなった。 * * * 子供の頃から知っている琴桜には初勝利でも「おめでとう」とは言わない。初日もそうだった。立ち合いでの腰が高すぎる。これでは相手を圧倒する相撲は取れない。ラッキーだったのは、気負い込んで立った熱海富士の腰が琴桜以上に高かったことだ。簡単に肩透かしも決まるはずだ。 私の現役時代は小手先での白星や、下がりながらの白星は「毒を飲むのと一緒である」と教わった。相手が倒れそうになったら逆に体を支えてやって最後まで前に出て勝つんだ、ともたたき込まれた。この哲学を注入してくれたのが私の師匠でもあった先代の佐渡ケ嶽親方、つまり初代・琴桜なのである。 琴桜という力士を良く知るものとして厳しいことを言わせてもらう。琴桜はまだ先代の域にはほど遠いところにいる。立ち合いで相手をはじき飛ばし、圧倒的な相撲で勝つことが琴桜の領域なのである。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)
報知新聞社