「悲しい事件や事故の数だけ被害者や遺族がいる」 北新地放火殺人事件から3年 ″犯罪被害者等給付金”は課題山積の現状 現場近くで遺族や弁護士らが署名活動
「犯罪被害者等給付金」とは?
「犯罪被害者等給付金」というのは、故意の犯罪行為によって亡くなった人の遺族や、重大な被害にあった人などに、国から給付金が支給される制度です。 具体的には、殺人事件に巻き込まれた遺族などを支援する給付金で、ことし6月に制度が変わりました。旧制度では最低の給付金額が320万円でしたが、今年の6月15日からは最低金額が1060万円に引き上がりました。また、遺族がショックを受けて働けなくなり収入が減ってしまうという事態を受けて、加算をするという点も増えました。ただ、この新制度が適用されるのは6月15日以降で、その前に起きた事件(北新地放火殺人事件など)には、新制度が適用されないことになっています。 給付額の基本的な算定方法は、(亡くなった方の直近3カ月の収入÷3カ月の労働日数)×0.7×(亡くなった方が何人養っていたかに応じた倍数)となっています。北新地放火殺人事件では、復帰を目指す無職・求職状態の人が多かったという事もあり、算定方法のベースが「直近の収入」となるため、収入によって給付金に差ができてしまうという状態になっています。 支援の周知が広がっていないという課題もあります。警察庁が実施したアンケートでは、給付金を受けた人などのうち、窓口などを利用せずに自力で申請したという人が74.8%いました。また「総合的対応窓口」という支援をスムーズに受けられる窓口について、84.4%の人が存在を知らないという状況です。さらに申請に必要な書類もたくさんあり、悲しい状況のなかで、自力で申請までたどり着かないというケースもあるということです。 犯罪被害補償を求める会は、国の責任において包括的な支援ができる組織を作ってもらって、被害者支援の強化・遺族たちの負担が少なくなるような強化を求めていきたいと話しています。