高騰し続ける金(Gold)価格…日米で税金の取り扱いに大きな違い、アメリカで金がリスクヘッジにならないワケとは
金が非課税対象になる米国個人年金
例外的に金が非課税対象となるケースが、米国個人年金(IRA)での保有です。 1997年の改正税法によって、金や銀、パラジウム等の貴金属は、いずれも「収集品」とみなされ、キャピタルゲインとして課税対象となりました。IRAの規則は厳しく、上記の他に、家具、宝石、美術品、ワイン、切手等も含めた収集品を保有することは認められていませんが、そのなかで例外的に、金のみ取り扱うことが認められています。 しかし実際にIRAの年金所有者の多くは金を取り扱っていません。たとえ取り扱っていても、1万ドルの金の売買に対して2.0~2.5%の手数料がかかるうえ、金の安全な保管を図るという目的で、四半期毎に手数料を取られてしまうというのが実情です。 さらに、IRAの金の保有方法を間違えると、重大なペナルティが科されます。IRAの年金所有者が自宅や貸金庫に保管する行為はIRAの規定に反することになります。 実際、IRA口座で73万ドル(1億円)相当の金を自己管理していた夫婦に対し、裁判所は27万ドル(3,800万円)の課税および5万ドル(700万円)のペナルティを科しています。 税金的には金の取り扱いは日本と大きく異なり、アメリカでは金の保有・売却と株式の保有・売却とは税法上大きく異なります。 税理士法人奥村会計事務所 代表 奥村眞吾
奥村 眞吾
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