「できて当然」と自分にかけたプレッシャー、解きほぐしてくれた元マラソン日本代表の言葉「試合も練習だと思って……」
6月14日にあった2024日本学生陸上競技個人選手権の男子1500mで、広島経済大学の東秀太(あずま・しゅうた、3年、三田松聖)が優勝。「二冠」をめざして臨んだ2日後の男子800m決勝では3位に入った。2008年の北京オリンピック男子マラソン日本代表など、多くの世界の舞台に挑み続けた尾方剛監督のもと、中距離と駅伝の両立を図っている。 【写真】1500mでは早稲田の岩下や明治の加世堂とのラスト勝負を制した
招集所で心に誓った「自分が1着に」
1500mは、今年5月の関東学生陸上競技対校選手権(関東インカレ)男子1部を制した日本体育大学の高村比呂飛(4年、敦賀気比)や同2部優勝の立教大学・青木龍翔(2年、大牟田)、2部2位の青山学院大学・宇田川瞬矢(3年、東農大三)らが欠場する中、決勝のみの1レースが行われた。「アップしている段階で欠場者は聞いていたんですけど、高村さんがいないとは思っていなくて。招集所でいないと分かってからは、自分が1着になることしか考えてなかったです」と東は言う。 レース中の位置取りやラストスパートのタイミングなど、長距離種目以上に他の選手との駆け引き要素が強く「トラックの格闘技」とも呼ばれる中距離種目。最も内側からのスタートとなった東は、「ハイペースもスローペースも想定して、前の方にいたらどっちでも対応できる」と考え、1周目で縦1列となった集団の4番手につけた。 青山学院大のルーキー・小河原陽琉(1年、八千代松陰)が先頭で引っ張り、最初の1周は60秒。志學館大学の中村晃斗(2年、出水中央)、札幌学院大学の金樹(こん・いつき、3年、仙台大明成)、東と続いた。 800mを過ぎて早稲田大学の岩下和史(2年、神奈川大付属)や環太平洋大学の高嶋荘太(3年、中京大中京)、明治大学の加世堂懸(2年、仙台育英)が一気にペースアップする中、東は残り200mからスパート。最後の直線勝負となり、東がわずかに岩下をかわしてトップでゴールした。3分49秒40。自己ベスト(3分45秒17)更新とはならなかったが、「流れに乗れました。ハイペースになったらタイムも狙おうと思ったんですけど、1周目の後にペースが落ちたので優勝だけに切り替えました」と充実した表情でレースを振り返った。