ナイキがウェンバンヤマの試作シューズをパリで展示…デザインはAIによるもの
毎年のように未来のスター候補が意気揚々と乗り込んでくるNBAだが、ビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)は本当の意味でレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)以来の“怪物”かもしれない。 【動画】展示されたナイキのシューズ 224センチの身長もさることながら、ウイングスパンは驚異の245センチ。その長い四肢を活かしたゴール下の支配力はもちろんのこと、初年度に記録した1試合平均3.6ブロックは直近の10年で2015-16シーズンのハッサン・ホワイトサイド(マイアミ・ヒートほか)に次ぐ成績であり、2位のウォーカー・ケスター(ユタ・ジャズ)にも1本以上の差をつけていることも強調しておきたい。そんな理想のセンター像のような成績を残しながら、バックコートからボールハンドリングを担うスキルセットや、十分すぎるアウトサイドの精度まで兼ね備えたこの男は、まさに異世界から来たような存在と言える。 エンドースメント契約を結ぶナイキも、この才能には惚れ込んでいる様子がうかがえる。4月9日(現地時間8日)の皆既月食当日には、ミステリーサークルを模したウェンバンヤマのシグネチャーロゴを大々的にお披露目。また、オールスターウィークエンドには『ナイキ GT ハッスル 2 EP』が解禁となり、銀河を彷彿とさせる幻想的なアッパーのかかと部分やインソールには彼のニックネームにちなんだエイリアンのモチーフが施されていた。 そんなナイキは、ウェンバンヤマの母国開催となるオリンピックの舞台パリで、彼のシグネチャーの布石となるシューズの試作デザインを展示発表した。『The Washington Post』でNBAライターを担当するベン・ゴリバー氏によると、従来のバスケットボールの常識を覆すこのプロトタイプは、ウェンバンヤマが愛するサイエンスフィクション(SF)への愛情と、ドラフトの夜に着用していた首元のビスマス鉱にインスピレーションを得ているという。また、彼は一部のトレーニングを裸足で行うことでも有名であり、素足に限りなく近いようなデザインを採用。シューズはまるでサッカー用スパイクのような洗練されたシルエットが印象的で、アッパーにはビスマス結晶を彷彿とさせる幾何学模様が刻まれており、ソールには前例のないクッション素材と思しきユニットが搭載されている。 ソール部分に記された「AIR」の文字は、よく見ると間にドットが記された「A.I.R」の表記になっている。これは「Athlete Imagined Revolution(=アスリートが革命を想像する)」の頭文字を取ったナイキの新たなコンセプトであり、デザインはAI(人工知能)によるもので、3Dプリントで出力。このコンセプトはウェンバンヤマのほか、ラスベガス・エーシズに所属するWNBAスターのエイジャ・ウィルソンや、サッカー界のスーパースターであるキリアン・エムバペ(レアル・マドリード)のモデルも公開された。 あくまでコンセプトではあるものの、足首周りのプロテクションやシューズのフィット感を考慮すると、オンコートでの使用は現実的に見えない。しかし、技術改革を続けるナイキであれば、我々の想像を絶するプロダクトを開発できるに違いない。 いずれウェンバンヤマのシグネチャーが発表される際に、このプロトタイプはデザイン面でどのような役割を果たしているのだろうか。 文=Meiji
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