映秀。が語る、新曲「ほどほどにぎゅっとして」のしなやかな新境地
小沢健二『LIFE』から学んだこと
制作面で念頭にあったのは、先ごろリリース30周年を迎えた小沢健二の大名盤『LIFE』。盟友・角野隼斗も在籍するPenthouseと一緒に“今夜はブギー・バック”をカヴァーしたこともあったが、今回リファレンスとして聴き込むうちに改めてハマり、シンガー・ソングライターとしての凄みに気づかされたという。《楽しいねって言いながら/ちょっとつまんなそうにしてるのもラブリー》というくだりにも、そのリスペクトが垣間見える。 「特に繰り返し聴いたのは“ラブリー”、“僕らが旅に出る理由”、“愛し愛されて生きるのさ”。情景が浮かぶ詞も素晴らしいですし、一番グッと来たのはメロディライン。誰が歌ってもいい曲になる、鼻歌で歌いたくなるメロディに感銘を受けました。サウンドメイクも独創的で、ハープやクラヴィネットも使いつつ、ビートはファンキーだったりして。今の自分がやりたいポップな音楽と近しいというか、シンパシーをめちゃくちゃ感じましたね。ハピネスな感じといい、自分の音楽とリンクする部分がすごくあるなと思って」 溌剌としたメロディやテンションに新機軸を感じる一方、ソウル/R&Bを基調とした音作りは『LIFE』とも共振しつつ、これまで築き上げてきたスタイルの延長線上にあるとも言えそうだ。「何度でも聴けるサウンドを作ってくれるし、どうやっても普通にならない」と映秀。が信頼を寄せる竹内聖が今回もアレンジを担当。『LIFE』が生音主体であるのに対し、“ほどほどにぎゅっとして”はブラスやオルガン、クラヴィネットの音色も取り入れつつ、ビートを中心にデジタルな質感も目立つ。プレイリストで流れたときに「今の楽曲」と認識できるような音像を追求するため、もうひとつ参照したのがNY出身の兄妹ソウル・バンド、Lawrence。彼らの人気曲“Do You Wanna Do Nothing with Me?”辺りと聴き比べてみるのも面白い。 年明けには待望の3rdアルバム『音の雨、言葉は傘、今から君と会う。』のリリースも決定。前作からここまでの3年間、映秀。は「みんなが歌える曲、聴いた人の記憶に残る曲を作りたい」と言い続け、歌を届けることにフォーカスしてきた。“ほどほどにぎゅっとして”もまた、そんな試行錯誤から誕生したラブリーな名曲であり、《今だけでいいの》と歌いながらも長く聴き継がれそうな予感がしている。 --- 映秀。 デジタルシングル「ほどほどにぎゅっとして」 配信中 3rd Album『音の雨、言葉は傘、今から君と会う。』 2025年1月22日(水)リリース 『映秀。CLUB QUATTRO TOUR “音の雨、言葉は傘、今から君と会う。”』 2025年2月21日(金) 名古屋・NAGOYA CLUB QUATTRO 開場18:15/開演19:00 2025年2月22日(土) 大阪・UMEDA CLUB QUATTRO 開場16:15/開演17:00 2025年3月1日(土) 東京・SHIUYA CLUB QUATTRO 開場16:15/開演17:00 チケット:5,500円(オールスタンディング)
Toshiya Oguma