<リベリア ~ パーム油と百姓一揆> 暴動の報復
農場での暴動は、地元の農場従業員たちに思わぬ悪影響をもたらすことになった。会社が一方的に生産の縮小を発表し、それに伴い300人以上の従業員たちが解雇されることになったのだ。解雇される人々への補償は一か月分の給料と20キロの米だけ。おそらく生産縮小は一時的なものだろう。暴動に対する報復ということなのだろうか。 「 解雇されても、すでに農場のために土地を手放した農民たちは、野菜の栽培もできない。土地もなく、仕事もなく、どうやって生きていけというんだ?」 村人たちを代表する一人のグレッグが、怒りあらわにこう言った。 農場の入り口のそばに建つ、一軒の家を訪れた。軒下で、女と子供たちが、玉ねぎと唐辛子しかはいっていないスープをすすっていた。農場で働く彼女の夫も、暴動の日の夜に警察に連れて行かれたという。 「夫は暴動のなかにいなかった」 彼女は不満そうに言った。帰り際、彼女の息子が寂しげに、車に乗り込む僕らを窓からじっと眺めていた。(2015年5月) (フォトジャーナリスト・高橋邦典)