走っていたら股関節が…最後までかなわなかった都大路に出る夢 それでも駅伝の強豪校3年生が見つけた「天職」 裏方に回って気付いたこと
全国高校駅伝に出場 長野東高校のマネジャー
京都市で22日に開く全国高校駅伝に女子の県代表として出場する長野東高校(長野市)は、3年の武田悠華(ゆうか)さん(17)がマネジャーとしてチームを支えている。先天性の股関節の形成不全が6月に判明し、選手からマネジャーに転向。練習や生活環境を整えるだけでなく、選手のささいな変化を見逃さないよう気を配ってきた。いよいよ迎える大一番。「私にメダルをかけてね」。後は仲間に思いを託す。 【写真】武田さんが支える長野東高のメンバー
もともとは走る側
13日夕、日が落ちて暗くなっていく長野市の犀川河川敷。武田さんは選手にこの日の練習メニューを説明。グループごと走る距離やペースを細かく伝えた。練習が始まるとストップウオッチを手に、選手の通過タイムを読み上げた。
「マネジャーに専念しないか」
もともとは自分も走る側だった。3月の終わりごろから左右両方の股関節に痛みが出た。走れない期間が長引き、横打史雄監督(47)から5月、「マネジャーに専念しないか」と言われた。
股関節の形成不全が判明「走るためにきたのに…」
「走るために(長野東に)きたのに」といったんは断ったものの、「3年生がこんなに長い間走れずにいたらチームに勢いがつかない」とも思った。MRI検査を受けて形成不全が判明すると、マネジャーに専念することにした。 当時は「しょうがない」との思いで受け入れた。ただ、その後の合宿で1日の計画を立てて選手の行動をまとめてみると、考えた通りにチームを動かすことが面白かった。そして気付いた。「走ること以外でもチームをまとめ、勝たせる方法がある」
監督「主将以上に切り盛りしてくれた」
11人の部員全員が寮生活を送る。武田さんは毎日朝5時に起きて全員分の朝食を用意。横打監督に練習メニューを確認し、ウオーミングアップやクールダウンをどこでどのくらい行うか考えるなど、やることは尽きない。横打監督は「縁の下の力持ち。主将と同等かそれ以上のスタンスでチームを切り盛りしてくれた」と信頼を寄せる。
「みんなが走れていることがうれしい」
選手がなかなか言い出せずにいるけがや体の違和感を見逃さないよう、走り方が普段と異なると感じた時は「(自分で)変えているの?」と尋ねる。故障予防や体調管理に関し、田畑陽菜選手(2年)は「悠華先輩に相談することが多かった」と感謝。武田さんは、選手の表情を見れば「調子が良さそうかどうか分かる」とし、「みんなが走れていると自分のことのようにうれしい」と笑顔を見せる。