元団員の定期講演、年内で終了 来年からは語り部の対象拡大 満蒙開拓平和記念館【長野県阿智村】
長野県阿智村の満蒙開拓平和記念館が、元開拓団員による「語り部定期講演」を年内で終了することを決めた。2013年7月の開館から続けてきたが、語り部を務める元団員の高齢化、減少が著しく、定期的な開催は難しいと判断。来年4月からは元団員以外にも語り部の対象を広げ、新たな形で講演を行っていく。 元開拓団員による語り部定期講演は、飯田日中友好協会が2005年に始めた。同館が引き継いだ当初は約20人が語り部として登録し、これまでに定期以外も含めて計519回の講演を行ってきたが、現在は語り部が飯田下伊那地域の6人と県外の2人にまで減少した。 戦後79年が経過し、多くが90代に。熱心に活動していた語り部が亡くなったり、直前に体調を崩して登壇できないケースも出てきたことから、今年4月からは毎月2回だった定期講演を1回に縮小していた。 来年以降は、「団体などからの希望があれば、元団員による講演もできる限りやっていきたい」としつつ、定期講演には元団員の親族や中国帰国者2、3世、満蒙開拓の歴史伝承に関わるボランティア、帰国者家族を対象にした日本語教室の講師など幅広い人たちを語り部として招き、「定期講演を行いたい」としている。 区切りとなる14日の定期講演は午後2時から。開拓団2世でもある寺沢秀文館長が語り部を務め、「水曲柳開拓団」の一員として旧満州(中国東北部)の吉林省に入植した両親のことを中心に話す。 三沢亜紀事務局長は「手探りではあるが、語り継ぐ主体を広げてやっていきたい。14日の定期講演は来年につながる講演になる」と話していた。 入館料は一般600円、小中高生300円。問い合わせは同館(電話0265・43・5580)へ。