「シートベルトが付いてなくても問題ないの!?」現代とはまったく異なる昭和クルマの安全意識
義務化当初は、腰を固定する二点式ベルトが主流だった
今のシートベルトは、腰をまたぐ部分と腰から斜めに上がって肩を通って抜ける部分の二本で身体を支える構造の「3点式」が主流となっています。 しかし、義務化の当初はまだ腰だけを支える2点式のベルトでOKでした。そのため、この当時は、斜めの肩と胸を支える部分がない「2点式」のベルトを装備したクルマが多かったようです。 今の「3点式」の元祖となったシステムは、スウェーデンの自動車メーカー「ボルボ」によって開発されたそうです。航空機のベルトを元に、ハンドルやダッシュボードへの衝突によるダメージを防止するショルダー部を追加した、今につながる構造のベルトが実用化されたのは1958年でした。 つまり昭和44年の時点で、すでに3点式ベルトは世に出回っていましたが、まだシートベルトの重要性が訴求していない時期だったので、装着のストレスや装備のコストを考え、2点式からスタートしたのではないでしょうか。 その後、2点式ベルトにショルダー部分を連結する「2+1点式」が登場し、その後に完全に一本のベルトで3点を繋ぐ今の形に落ちつくことになります。
そんなベルトなしや2点式のクルマをいま運転すると、装着義務違反になるのか?
シートベルトの義務化の流れをザッと見ていくと、以下のような流れになっています。 1969年 シートベルトの装備を義務化(装着義務はない) 1971年 高速道路での装着を義務化(運転席のみ) 1975年 前席のみ3点式の装備を義務化(一部を除く) 1987年 一般道でも装着が義務化(後部座席は対象外) 2008年 全席での着用を義務化 2012年 全席に3点式の装備を義務化 このように1969年までに製造されたクルマにはベルトが装着されていないケースが多く、1969~1975年の間に製造された車両には、2点式または2+1点式のベルトを装着したクルマが多いことになります。 もちろん、これらの旧いクルマは公道の走行を禁止されていませんが、ベルトを3点式に変更しないと法律違反になるのでしょうか? 答えはNOです。車両に関する法律は、新たに作られた条項が年式を遡って適応されることはありません。 つまり、製造されたときの法律が適用されるということになります。元からベルトがないクルマには装着の義務自体がなく、元から2点式または2+1点式のベルトのクルマはショルダー部の装着の必要はないということになります。