沿線自治体が「JR西日本株」を続々購入! 京都・亀岡市は1億円分、なぜ彼らは“物言う株主”を目指すのか?
市議会で株式取得費含む補正予算案可決
JR西日本の株式を沿線の地方自治体が取得に動くケースが相次いでいる。狙いは赤字路線の維持や増便だが、「物言う株主」を目指す理由はどこにあるのだろうか。「株主となって発言力を高めるとともに、利用者や市民に公共交通への関心を喚起したい」京都府亀岡市議会の9月定例会開会日、桂川孝裕市長は提出した2024年度一般会計補正予算案の提案理由説明で力を込めた。 【画像】「亀岡市・桂川市長」を見る 桂川市長が言及したのは、補正予算案に計上した 「JR西日本株1億円分」 の購入だ。JR西日本株は100株につき、1議決権が得られる。3万株以上を保有し、300以上の議決権を得れば、株主提案が可能。亀岡市が目指す株式1億円分は、株価が多少変動しても株主提案できる額を計算してはじき出した。 京都駅(京都市下京区)から亀岡駅(亀岡市)を通って園部駅(京都府南丹市)へ至るJR嵯峨野線のうち、亀岡~園部間はコロナ禍の際、平日の日中で30分に1本から1時間に1本にダイヤが減便されている。しかし、コロナ禍が一段落すると、 「高校の部活動に影響が出る」 など沿線住民が不便を感じるようになった。
利用回復も増便見送り
京都~園部間の2023年度輸送密度(1km当たりの1日平均輸送人員)は4万397人。コロナ禍前の2019年度の 「9割強」 まで回復している。京都府や亀岡市は増便を求めてきたが、3月のダイヤ改正では、嵐山へ訪日外国人観光客が殺到してパンク寸前だった京都~亀岡間が増便される一方、亀岡~園部間は 「コロナ禍前の利用に戻っていない」 として見送られた。 亀岡市は嵯峨野線複線化や市内の駅の建て替え、バリアフリー化に公費を投入したほか、2024年度補正予算案に千代川駅の自由通路設置などで5年間に約15億円の債務負担を計上するなどJR西日本に協力してきた。それでもJR西日本を動かせない状況から、物言う株主になって増便を実現させようと考えたわけだ。 2024年度補正予算案が10月上旬、原案通り可決されたのを受け、亀岡市は今後、株式取得に動く。亀岡市桂川・道路交通課は 「亀岡市が本気で増便に取り組んでいることを示したい」 と意欲を示した。