「闇バイト」強盗相次ぎ、警察が警戒強める…「あなたは単なる捨て駒。人生詰む」動画やチラシで呼びかけも
関東を中心に相次いだ「闇バイト」による強盗事件を受け、九州・山口・沖縄の警察当局も警戒を強めている。先月は中学生ら少年3人が山口県の民家を狙ったとみられる「強盗」が警察の職務質問で未然に防がれる事案も発生。各県警はパトロールの強化とともに、闇バイト募集に注意を促す若者向けの啓発にも力を入れている。(内田詩乃、中村由加里) 【表】闇バイトの特徴…一見好条件の求人など
「そこで何しよるん」。10月20日午後8時頃、山口県光市の住宅街。建設業男性宅近くの路上にいた少年3人に、巡回中の警察官3人が声をかけた。少年らは暗い夜道から室内の様子をうかがっていた。
捜査関係者によると、3人は逃げたり暴れたりせず、素直に職務質問に応じ、1人は「強盗しようと思った」と話した。カバンからはマイナスドライバーや粘着テープが見つかり、3人は強盗予備容疑で逮捕された。
3人はSNSなどを通じて闇バイトに応募した茨城県の中学生ら関東地方の14~18歳。秘匿性の高い通信アプリで指示役と連絡を取り合って東京都内で集合後、新幹線などを乗り継いで700キロ以上離れた光市に移動したという。報酬数十万円が稼げると認識し、「遊ぶ金が欲しかった」という趣旨の供述をしている。事件を受け、山口県警は住宅街を中心に巡回頻度を増やすなど警戒を強化した。
闇バイト強盗と疑われる事件は8~10月、関東などで相次いだ。指示役がSNSで互いに面識のない若者を集めて実行役をさせる「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」とみられる。
九州や東北でも事業者を名乗って家族構成などを尋ねる不審な訪問が続き、警察庁は10月18日、深夜のパトロール強化や職質の徹底を全国の警察に通達した。
闇バイトの募集は強盗に限らず、特殊詐欺の実行役などにも及んでいる。警察庁は公式ウェブサイトや公式X(旧ツイッター)で、「楽で高額な仕事だ」と強調したり、匿名性の高いアプリに誘導したりといった闇バイトの特徴を周知し、若者らに危険性を伝える啓発にも力を入れる。