「珍しかったので」巨人・阿部監督に継投を決断させた山崎伊織の異変 6度目完封リレーは両リーグトップ
◆JERA セ・リーグ 巨人2―0中日(23日・ひたちなか) 巨人が茨城・ひたちなかでの中日戦に快勝し、連敗を3で止め、7戦ぶりの白星を手にした。坂本勇人内野手(35)の初回の先制打、4回には萩尾の適時打で挙げた2点を、4投手の完封リレーで守り切った。今季6度目の完封勝ちは12球団最多。先発の山崎伊織投手(25)は7回途中3安打無失点の力投で2勝目を挙げた。9連戦の初戦を白星でスタートし、中日と入れ替わって2位に浮上した。 【動画】阿部監督が丸、長野に“右打ち”でノック * * * * 久々に味わう感覚だった。14日の広島戦(東京D)以来、7戦ぶりの勝利に、阿部慎之助監督(45)は笑顔で選手を出迎えた。「9連戦のアタマを取れたのはすごく大きいですし、久しぶりにみんなと握手をしたなと思って」。3敗3分けと生みの苦しみを味わった1週間を乗り越え、安堵(あんど)の表情を浮かべた。 魂の継投が勝利をたぐり寄せた。2点リードの7回、これまで2安打無失点と好投していた山崎伊が、先頭の中田にストレートの四球を出した。「スリーボールになるとか珍しかったので、そこで(ブルペンに)準備させました」。3ボールノーストライクはこの試合初めて。3ボール自体も4回2死の中田にフルカウントになっただけ。鋭い勘が発動した。 1死から岡林に左前安打を許し、一、二塁となったところで、87球と球数に余裕はあったが、高梨への継投を決断。大事な場面で、百戦錬磨の左腕は代打の大島を遊ゴロ、山本を見逃し三振に仕留めた。続く8回を託したバルドナードは3者連続三振に斬って取り、開幕からの連続無失点を10に伸ばした。両左腕に対し、指揮官は「素晴らしい。その一言です」と手放しでたたえた。 今季21試合目で、早くも12球団最多となる6度目の完封勝利。防御率1・81は12球団トップだ。昨季の救援防御率3・81がリーグワーストだったことを受け、昨秋に監督に就任以降、最もテコ入れしてきた。トレードで近藤や泉、現役ドラフトでは阪神から馬場、助っ人ではケラーも加えた。開幕直前にはドラフト1位右腕の西舘もリリーフに回した。好救援した高梨も開幕時点では1軍に入れないほど、春季キャンプから切磋琢磨(せっさたくま)。その厳しい競争の結果、中川の負傷離脱が大きな穴にならないほど層は厚くなった。 大事な9連戦のアタマを投手陣の頑張りで制した。「点を取られるときは来るとは思うんですけど、今の調子をみんな継続して、いい準備をして、マウンドに来てもらいたい」と指揮官。強力なブルペン陣が、今の阿部巨人を支えている。(井上 信太郎)
報知新聞社