「75歳の夫が毎晩、迫ってくるが、頻度が異常」妻は不眠症に…タブー視される高齢者「性的逸脱行動」の実態
精神科病院の入退院の相談、カウンセリングもかねて、患者やその家族の話を聞くソーシャルワーカーという仕事がある。その相談の中には、認知症の高齢者の家族でパートナーや患者本人の性の問題に悩んでいる人も多い。今回は、精神科病院のソーシャルワーカーとして働いて4年目の中村さん(仮名・44歳・女性)に、その実態を聞いた。 【画像】「おむつ一丁でベッドに潜り込む人も…」実態を語る中村さん
「夫が毎晩、迫ってくるが、頻度が異常」で認知症外来を受診
高齢者介護の道一筋で、社会福祉士と精神保健福祉士(PSW)の資格の保有者である中村さんは、40歳の時に転機があり、高齢者介護の世界から、精神医療の世界へと転身した。 ソーシャルワーカーの元には、誰にも相談できない、身内の精神疾患に悩む家族が日々、連絡してくる。 「特に、高齢者の性の問題は、昭和世代は “秘め事” という意識が強いです。それなので、“(家族が)恥ずかしいことをしている” と前置きして、しどろもどろに相談する人も多いです」(中村さん、以下同) その中で、中村さんの印象に残った高齢者の話を聞いた。 「認知症の症状に、いわゆる “色ボケ” と言われる、性的逸脱行動があります。旦那さんが、日常生活では普通なのに、夜になると、奥さんに性行為を求める。 それだけなら、性欲は高齢者になろうとあるので、問題ではないです。だけど、そこに認知症があると、自分が勃起しない・射精しないのに、夜に何度も奥さんに求め、奥さんが眠れなくなったケースがありました」 夫は75歳で、妻は70歳前半の夫婦だったという。 夫は、勃起しない・射精しないことを忘れて、何度でも迫ってくる。妻は薄々、認知症を疑っていたが、受け入れ続け、不眠になった。その末の夫婦での認知症外来の受診だった。 「旦那さんは、自分がもう “できない” ことは悟ったようで、受診のときに、何とも言えない悲しい顔をしていました。 だけど、やはり認知症の症状で、悟ったことも忘れてしまいます。それでも、奥さんは、自尊心を傷つけないために、拒否しなかったそうです。夫婦愛ですよね」 こういったケースは決して少なくはないという。