スタイリッシュな新型「4ドアセダン」発売! 1000台限定で「495万円から!?」 日本の道で試したBYD「SEAL」の実力とは
もう少し具体的に言うと「意のままの走り」がしにくいのです。 例えば、車体はカチッしていますがどこか突っ張った印象。その弊害なのか直進性は最近のクルマにしては外乱に影響されがち。 コーナリングは限界こそ高そうですが、そこまで至る過程はと言うと。 まずステアリングの切り始めの応答性が悪いのでコーナー進入時にノーズがなかなかインを向かず我慢が必要なのに、そこからクルマは想像以上に機敏に動いてしまうのです。 昔のホンダ車は「曲がりそうで曲がらない」と言うのがありましたが、SEALはその逆「曲がらなそうなのに、曲がる」で、一体感に欠けます。 更に旋回中にはロール方向の動きは少ないものの、ピッチ方向はアクセルコントロールで予想以上に動いてしまい、結果としてクルマがギクシャクしてしまいます。 これは後輪駆動よりAWDのほうが顕著だったので、前後モーターの協調にも問題があるのかも。 乗り心地は一般道では少々突き上げを感じますが、60~70km/hくらいからしなやかさが増す印象です。個人的にはちょっと昔の欧州フォードやオペルの乗り味に近いと感じました。 しかし、そこから先の100~120km/hくらいだと逆にバネ上が常に落ち着かない印象で、残念ながらフラットライドな感じはありません。 AWDは減衰調整式ダンパーが採用されていますが、乗り心地としては後輪駆動モデルとあまり差がないように感じました。 運転支援系デバイスはBYD独自の幼児置き去り検知システム(CPD)をはじめ、予測緊急ブレーキシステムやACCとレーンキープアシストを組み合わせたナビゲーションパイロットなど必要な機能はほぼ用意されています。 ただ、お節介くらい介入する制御や必要以上に警告音や表示は、良く言えば「安全側に振っている」とも言えますが、やはり「人間中心」ではないかなと。 総じて言うと、個々のハードの実力は高いものの、トータルつまりクルマとしての“まとまり”は志半ばなのが筆者の評価となります。 少々厳しいですが、恐らく「最高の技術を盛り込めば、必ずいいクルマに仕上がるはず」と言った技術屋集団的な考えが強すぎで、数値に表れにくい感性領域へのこだわり。 つまり最後にクルマに“魂”を込める所は、老舗自動車メーカーのそれと比べるとまだまだ差があるように感じました。 ただ、彼らがその重要性に気付き始めたら脅威なのも事実です。なぜなら、ボディ構造をはじめとしたクルマの根幹部分をチェックすると、欧州メーカーのレシピが再現されているなど、ハードに関しては間違いなく“いいモノ”が使われているので、今後どう調理をしていくかで大きく化けるのではないか、と予想しています。 劉氏は「BYDの強みは、市場の動向をいち早く捉えて製品をアップデートしていくこと」と語っていますが、今後「おっ、やるねぇ」となる事を期待しています。 ちなみに価格は後輪駆動が528万円、AWDが605万円ですが、導入記念キャンペーン(1000台)は後輪駆動が495万円。 AWDが572万円とお買い得プライスな上にETCやドライブレコーダー、充電器の工事費(最大10万円まで)などの特典アイテムがプラスされます。
山本シンヤ