【EC物流最前線】2024年は「新物流」の到来 システム、自動化、SCMが鍵に
越境物流は共闘時代へ
越境EC市場も例年に増して活況だ。インバウンド需要や為替変動などアフターコロナの変化がビジネスの広がりを後押しする。 越境EC市場の成長は、倉庫側にも恩恵をもたらし、越境EC物流の倉庫は稼働率がさらに高まっている。 一方、販売手続きや物流の簡素化によって越境EC市場のすそ野は広がっているものの、荷主側の事業拡大にそのままつながっているわけではないとの声も聞かれる。こうした状況に対し、各社が手を組む「共闘施策」が目に付くようになった。 越境EC物流のTokyo Otaku Modeでは、荷主とのパートナーシップ連携を進めている。荷主をパートナーと捉えて、越境事業を軌道に乗りやすくする環境作りを包括的に支援する。すでに同社が支援した荷主では、国外販売の比率が従来の2割程度から5割にまで伸長した事例もある。越境EC需要の高まりも要因だが、同社の積極的な支援で成果が出たものとみている。 越境EC物流のソリューションはここへきて、配送料の可視化や安価な運賃で運べるシステム作りが目立つ。その進化には今後も注目が集まりそうだ。 <不動産は独自価値> 倉庫内の効率化や省人化に目を向けがちだが、物流不動産もEC物流業界にとって大きな存在になった。 霞ヶ関キャピタルは、準備を進めてきた冷凍自動倉庫の開発を始め、倉庫の運用を本格稼働していく。 冷凍・冷蔵市場のニーズに対応するだけでなく、2030年に予定されているフロン規制への対応、庫内の自動化という新たな価値も生み出す。冷凍保管サービスという新たなソリューションの提供を始める計画だ。 野村不動産は、パートナー企業や荷主・倉庫企業と連携して物流の課題解決を行うプラットフォーム「Techrum(テクラム)」が今年10月にリニューアルした。 自動化設備の導入を後押しする形で、それぞれの機器を連携し実際に稼働させて、実用性を訴求する形にした。 2024年は、市場動向やトレンドの変化を捉え、従来の形にとらわれない「新物流」が動き始めている。通販・EC物流のニーズを掘り下げた戦略が求められる。
日本ネット経済新聞