『キングオブコント2024』優勝本命芸人は? 要注目5組のYouTubeチャンネルから分析
『キングオブコント2024』の決勝戦が2024年10月12日に放送される。今回のファイナリストはコットン、ニッポンの社長、ファイヤーサンダー、や団、ラブレターズ、隣人、ロングコートダディの7組が決勝経験者、cacao、ダンビラムーチョ、シティホテル3号室の3組が初決勝となっており、いずれも他の賞レースでも結果を残している実力者揃いだ。 【写真】架空の番組にこだわりを見せる「ニッポンの社長の参拝チャンネル」 本稿では、ファイナリスト10組の中から特に注目すべき5組をピックアップし、それぞれのYouTubeチャンネルからその魅力を紐解きたい。 ・ニッポンの社長 まず1組目に紹介するのは、今大会の優勝候補筆頭と言われるコンビ・ニッポンの社長。2020年から5年連続で決勝進出するなど、もはや「キングオブコントの顔」と言っても過言ではない。今年も他を寄せつけない強さで決勝進出を決めた。ただそこに立っているだけで面白いケツと、辻の圧倒的なカリスマ性。これだけネタを見る機会が多い2人にもかかわらず、なにをしてくるのか一切予想できないネタの幅広さが彼らの魅力だ。 YouTubeチャンネル「ニッポンの社長の思い出チャンネル」では、そんな底知れない雰囲気を持つ彼らの変態性が滲み出ている動画が数多くアップされている。なかでも異常性が飛び抜けて高いのが「ニッポンの社長の参拝チャンネル #234」だ。 2人が日本各地のお寺を巡り、その歴史や作法を学び心を込めて参拝をするという企画なのだが、何を隠そうこんな番組は「いっさい」存在しない。当然のように「#234」とタイトルに付けられているが、いくら探しても残りの233本は見つからない。恐ろしいのが、この234回目を成立させるために、過去回のサムネイルをわざわざ別撮りで撮影しているところだ。この「こんな番組ない」という1ボケのためだけにここまでの労力をかける2人。本番ではどんな奇天烈なコントで我々の脳を混乱させてくれるのか。 ・や団 2組目は、3年連続で決勝進出を果たしているトリオ・や団。強烈なキャラクター性が持ち味のロングサイズ伊藤、飄々とマイペースにボケる中嶋、天を切り裂くハイトーンツッコミの本間キッド、3人のキャラクターを活かした掛け合いが中心のコントは、老若男女誰が見ても楽しめるだろう。 ネタだけでなく、仲の良さも魅力のひとつでYouTubeチャンネル「や団YouTube」では、良い意味で仲の良い友達同士のような3人のやりとりをたっぷりと見ることができる。 「自分が食いたいものを自分以外が食べるやつ」ではタイトル通り、中嶋が買ったざる蕎麦を本間キッドに、本間キッドが買ったファミチキとファミチキバンズをロングサイズ伊藤に、ロングサイズ伊藤が買った富士そばの冷麺を中嶋にそれぞれ交換して食べてもらうという企画だ。おじさんが笑い合いながら好きなものをあげあう姿は「かわいい」としか言いようがなく、きっと「や団推し」になってしまうことだろう。 ・コットン 3組目は、いまやテレビで見ない日はないほどの人気を誇るコンビ・コットン。女性役を得意とし、あの脚本家・三谷幸喜が認めるほどの高い演技力が持ち味のきょんと、芸人界でも自他共に認める「稀代の陽キャ」である西村、個性抜群の2人が織りなすドラマ型のコントは細部までこだわったストーリーと、登場人物のリアリティさによって、まるで一本の長編映画を見た時のような充実感がある。 YouTubeチャンネル「コットンシアター」では、2人の人間性をより深く知ることができる。特に「コットンのラジオパレード」(通称:ラジパレ)というトーク企画では日常にあった出来事から出演番組や共演者との裏話まで実に100本以上の動画がアップされている。なかでも反響が高かったのが、『ラヴィット』(TBS)で共演中のSnow Manの宮舘涼太と西村が食事に行った話だ。店に入り、個室で宮舘と相まみえた瞬間の優雅な雰囲気を「王様に謁見した下僕」と例えるなど、普段なかなか知ることができないトップアイドルのプライベートな話を抜群のトーク力を展開させていた。ラジパレを聴けば、なぜコットンがここまでの人気を誇るのかその一端を知ることができるだろう。 ・ロングコートダディ 4組目は、M-1グランプリとキングオブコントで2度ずつ決勝進出を果たしているコンビ・ロングコートダディ。2021年の効率は死ぬほど悪いが異常に筋力がある軽作業員「井上さん」、2022年の料理番組の収録で料理人がセットの看板に頭をぶつけて帽子を落とし続ける「料理頂上決戦」など、堂前透が生み出す兎の独特な雰囲気を活かしたネタは一度見たら忘れらない中毒性がある。 彼らのYouTubeチャンネルは2つあり、主にネタ動画をアップする「ロングコートダディゾーン」と完全に「ゲーム」に特化したチャンネル「ロングコートダディ和尚のゲーム念仏」の2つ運営しており、ゲーム念仏では彼らの新たな一面を覗かせていた。 ゲームが大好きな2人がゆるくトークをしながら話題作を実況プレイするチャンネルなのだが、ささいなコメントの一つひとつがとんでもなく面白い。最新回では、Nintendo Switchなどで発売されている『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』をプレイしており、興奮のあまり瓦屋根を「瓦礫屋(がれきや)」と読み間違える天然な兎と、兎をなだめつつ絶妙にツッコミを入れる堂前のコンビネーションを味わうことができる。決勝でもどこまでもマイペースな2人の世界観を存分に見せつけてほしい。 ・ダンビラムーチョ 最後に紹介するのは、ロングコートダディと同じくM-1グランプリとダブルで決勝進出となるコンビ・ダンビラムーチョ。主に歌ネタを得意としており、耳をつんざくようなハイトーンボイスの持ち主である大原優一と、腹に響く低音ボイスの持ち主の原田フニャオのハーモニーの相性は聴き心地抜群。M-1グランプリ2022で見せた森山直太朗の名曲「生きとし生ける物へ」を歌い合うネタは敗退こそしたものの、その衝撃は未だにお笑いファンの間で語り継がれるほど。 YouTubeチャンネル「ダンビラムーチョ」では、共に高校野球出身経験者という経歴を活かし数々の野球あるあるを投稿している。特に大原が演じる「エグいことを言う監督」は絶品で、なにか気に入らない行動をされるとすぐに選手をスタメンから外す嫌な監督を怪演している。 決勝では歌で来るのか、野球で来るのか、はたまた全く違うダンビラムーチョを見せてくれるのか、楽しみでならない。 「歴代最高」と言っても過言ではないメンバーが揃ったキングオブコント2024。お笑い界の歴史に新たな1ページが刻まれる決戦の日を、いちお笑いファンとして心して迎えたい。
かんそう