矢野燿大氏 阪神・坂本は捕手目線で配球を読め!2回1死一、二塁で初球の甘いスライダーを見逃し
◇セ・リーグ 阪神1-6ヤクルト(2024年6月29日 神宮) 【矢野燿大 視点】3点を先制された直後の2回表の攻撃。2つの四球で得た1死一、二塁の反撃の好機で坂本は初球のスライダーを見逃した。この場面、捕手目線で配球を読むなら「真っすぐでスーッとは入ってこない。フォークもあるけど、スライダーの可能性が高い」。外角低めぎりぎりに決まったスライダーなら見逃せばいい。すっぽ抜けて肩口から入ってくる甘いコースだったので、振っていけば、いい結果になっていたのではと思う。 いま、チーム全体で得点できずに苦しんでいる。すべての球種とコースを追いかけて、追い込まれてから際どい球にも手を出さざるを得ない状況よりは、狙った球なら早いカウントからでも勝負していく方がベターだ。代打などで1打席勝負の野口らには言わないが、4打席ある捕手の坂本なら、このような配球読みからのアプローチもできるはずだ。 3回の守りでは1死一塁での遊撃・小幡の失策から2失点につながった。オスナの二ゴロは完全な併殺コース。小幡が中野からの二塁送球を捕球できなかった。中野がほんの一瞬だけ打球に合わせたことでタイミングが少しずれたのかもしれないが、あれくらいは普通に捕ってあげてほしい。小幡ならあれくらい当たり前と言われる安定感と信頼感を得ることが大前提だ。 3回途中5失点で降板した伊藤将は、味方失策があったとはいえ、真っすぐのベース上でのキレのなさが気になる。押し込んで、内角に突っ込んで、攻めていく本来の力強さがないので、変化球も簡単に引きつけられて対応されてしまう。これではリードする側の捕手も苦しい。もう一度、真っすぐの力強さを取り戻す必要がある。 (スポニチ本紙評論家)