Google TV搭載で大画面・高画質なレーザープロジェクター「Dangbei Atom」を試してみた
解像度は1080P(1,920x1,080ドット、いわゆるフルHD)で、4Kソースの入力にも対応してはいるが、表示はフルHDに制限される。もっともプロジェクターの性質上、そこまで厳密に精細な表示が求められることは少ないと思われるので、実用上はさほど問題ないだろう。筆者の体感としては、十二分に明るく、精細な表示が得られていると感じられた。また、動画再生時に気になる残像感(動画ぼやけ)もほとんど感じられない。このあたりは投写素子にレーザーを使っているメリットだろう。
画質面で解像度と並んで重要とされるダイナミックレンジについては、HDR10、Dolby Vision、HLGの各規格に対応しており、それぞれの規格に対応したコンテンツは高画質で楽しめる(ただし、HDR対応についてはHDMIやUSB接続には対応せず、オンラインストリーミングのみの対応)。プロジェクターがスクリーンに反射させて表示する都合上、有機ELなどと比べると、どうしても黒が真っ黒にならず、若干浮いてしまうという面はあるものの、色表現については十分に高いと感じられた。 ■多彩な動画配信サービスに対応 前述したように、Atomは「Google TV」をOSに採用している。Google TVはAndroid OSをベースにスマートテレビ向けに最適化されたプラットフォームで、一部のAndroid用アプリも動作する(リモコンで操作できるものもある)。
Google TVを採用したことで、既存のGoogleアカウントがあれば、検索履歴なども含めてスマートフォンなどで利用している情報をそのまま活用できる。また、Netflix、Amazon Prime Video、Hulu、Disney+、U-NEXT、Apple TVなど、Android用アプリとして提供されている主な動画配信サービスを手軽に利用できる。以前紹介したEmotn N1では、追加できるアプリが中国向けのものばかりだったので、大きな改善点だと評価できる。 また、Google TVを搭載したことで「Googleアシスタント」も利用できる。リモコンの音声アシスタントボタンを長押ししながら話しかければ、各サービスを跨いで動画の検索が可能だ。リモコンでちまちまと文字入力する必要がないのは大変ありがたい。メニューの反応や音声入力へのレスポンスもよく、操作感は快適そのもの。ハードウェアの処理能力面で不満を感じることはなかった。 画面の調整については、オート補正機能がかなり優れており、基本的にはほぼAtom任せにしておいても問題ない。台形補正についてはマニュアルで調整したくなるシーンもあるが、概ね許容範囲といったところだろう。本体位置を調整してピントなどがズレても、すぐに最適な状態にしてくれるのはありがたい。
■プロジェクターの強みを気軽に楽しめる一台 最近はテレビを持たずに、スマートフォンやタブレットでYouTubeや配信サービスをメインに視聴している人も増えているというが、そういったサービスを大画面で楽しみたい場合、白い壁面と投影距離、そしてコンセントさえ確保できれば、スタンドアローンでの運用が可能なDangbei Atomはうってつけの選択肢だ。 価格は13万4,800円前後と、LEDや液晶、DLP形式のプロジェクターよりワンランク上だが、レーザー方式ならではの、シャープで明るい映像にはそれだけの価値があると思わせるものがある。大画面と高画質を両立させたいという人にはお勧めの一台だ。
海老原昭