27歳で欧州からJ復帰「これでいいのか」 独からオファーも…元日本代表が明かした葛藤【インタビュー】
欧州3クラブでプレー、27歳の清武弘嗣がJリーグ復帰した背景
J1サガン鳥栖に所属する元日本代表MF清武弘嗣は、欧州3クラブでプレーした経験の持ち主だ。ドイツ、スペインで実績を重ねていたなか、27歳でJリーグ復帰を決断。その背景には一体何があったのか。(取材・文=河合 拓) 【実際の場面】「危険すぎる」「キャプテン失格」 J主将が観客席に向けてペットボトル蹴り込む衝撃シーン ◇ ◇ ◇ 2012年にドイツに渡ってニュルンベルク、ハノーファー、セビージャでプレーをした。2017年にはセビージャからセレッソ大阪に移籍し、Jリーグに復帰した。一度、日本に帰ってきてしまうと、再び欧州に渡るのは簡単なことではない。今後、日本に戻るのか、欧州でプレーを続けるのか、迷う選手は多く出てくるだろう。2012年のロンドン五輪や2014年のブラジル・ワールドカップ(W杯)にも日本代表として出場していた清武は、2018年のロシアW杯を1年後に控えた2017年、どのような思いを持って帰国していたのか。 「ちょっと抵抗はありましたよ」と、清武は当時を振り返る。2017年の冬の移籍市場でC大阪に復帰した清武だが、そのわずか半年前には2016-17シーズンの欧州スーパーカップの舞台に立ち、レアル・マドリードと対戦していた。文字どおり、世界最高峰の相手と日常的に戦える機会が失われることになるのだから、それも無理はないだろう。 「帰ることには抵抗があったのですが、サッカーどうこうよりは家族と離れていることもあったので。ドイツの2年間は家族と一緒だったのですが、最後の2年半は1人で生活をしていたんです。帰ることに対して『これでいいのか』という葛藤はありました。もう一度ヨーロッパにという思いもありましたけど、そこに対して帰ってしまったら迷いはなかったですし、自分がやるべきタスクははっきりしていたので、そこに対してサッカー人生に何か響いているかというと、その選択は間違っていなかったと思っています。いろいろな人に相談しましたし、『海外でやり続けたほうがいい』と言ってくれる選手もいました。実際にドイツからも話はあったんですけど。でも、最終的には自分で決断しました。自分の人生ですからね」 欧州のクラブから求められる選手は、個々の能力が高いからオファーを受ける。さらにそこで成功を掴めるかどうかは、選手自身の意思が重要だと清武は言う。 「環境や指導者が違うのは、日本も一緒だと思うんです。チームごとに環境は違うし、指導者も違う。その中でどれだけ選手が本当にサッカーで生きていきたい気持ちがあるか。やっぱり僕はドイツの選手は、そういう気持ちが強かったと思う。スペインもサッカーのスタイルは全く違うし、指導方法も違っていて戦術も叩き込まれます。ちょっと特殊なところはありますが、サッカーへの思いは強かった。環境が違う、指導者が違う中でのモチベーションとか、国を挙げてサッカー熱がドイツは違いました。その文化はなかなか変えられるものではない。そうなった時に本当にサッカーで生きていく強い意志があるかが問われているなとは、自分もドイツにいた時に感じました」