27歳で欧州からJ復帰「これでいいのか」 独からオファーも…元日本代表が明かした葛藤【インタビュー】
久々に戦ったJリーグの舞台は「めちゃくちゃやりづらかった」
そうした経験をして日本に帰ってきた清武だが、Jリーグに戻った当初は苦労したという。 「(日本に)帰ってきてから、サッカーはめちゃくちゃやりづらかったですね。何が違うかは明確に言えないのですが、日本の守備のほうは組織的だなっていうのは思っちゃいました。海外の選手っていうのは、僕がいた時は、飛び込んできてくれるとか、この間合いなら抜けるとか、この間合いなら、その間に通せるというのがあったんです。でも、日本は結構ブロックで守るじゃないですか。それがめちゃくちゃやりづらかったです。『うわ、やりづらい』『こんなにブロックひいていたっけ?』と、帰国してからすぐに思いましたね」 帰国してから、日本のサッカーに再び自分をアジャストするまでには、ほぼ1年かかったという。「自分は適応能力がめっちゃ高いなと、勝手に思っていたんですけど、全然遅かったです」と苦笑した。 欧州組が増えてきたなかで、今後は欧州から日本に戻ってくる選手たちも間違いなく増える。彼らへのアドバイスとして、「焦らないことが大事」と清武は言う。 「それこそ僕も日本に帰ってきてから、めっちゃ怪我が増えたので。いろんな環境の変化に適応することも必要ですが、もちろん帰国したら期待もされているから焦ってしまいます。そういう周囲の期待とかも絶対にあるので、焦ってしまいがちですが、本当に時間をかけてもう1回パフォーマンスを作り直すことは、めちゃくちゃ大事だと思います。帰ってくるとなると、年齢的にも一番良い時か、ベテランにさしかかってくる時だと思うので。今、自分のことを振り返ると『焦っていたな』と思いますが、焦っても仕方がないので」 欧州で活躍するためにも、日本で活躍するためにも、重要なのは心の持ち方だと語った清武。焦らずに自分のできるプレーを最大限に披露し続ける。それこそがサッカー選手にとって最も重要な成功の秘訣なのかもしれない。 [プロフィール] 清武弘嗣(きよたけ・ひろし)/1989年11月12日生まれ、大分県出身。大分トリニータU-18―大分―セレッソ大阪―FCニュルンベルク(ドイツ)―ハノーファー96(ドイツ)―セビージャFC(スペイン)―C大阪―サガン鳥栖。卓越したテクニックと攻撃センスを武器に持つ日本屈指のMF。U-23日本代表としてロンドン五輪、日本代表では2014年のブラジル・ワールドカップを経験した。
河合 拓 / Taku Kawai