《恒例行事の裏側》山口組事始め式は前日にリハーサル実施 餅つき大会の餅は500kgのもち米で作り全国に配布「去年の餅がまだ冷凍庫に…」と参加したことのある暴力団関係者
次の餅が届く前に、なんとか消化しておかないと
盃事を終えた六代目山口組では、年末にもう1つの恒例行事「餅つき大会」が行われる。A氏の所にも毎年ついた餅が配られてくるというが、「去年の餅がまだ冷凍庫に残っている」とため息をついた。去年の年末、A氏の所に配られた餅は4パック、「赤と白の紅白の餅、ヨモギの草餅、あんこ餅、中にあんが入っていない草餅だったと思う」。餅は丸餅で、小ぶりの餅が1パックに10個ほど入っているという。 A氏に正月の間に食べきれなかったのかと聞くと、「沢山もらっても困るんだ。そんなにうまくないからね」とまさかの本音が飛び出した。餅つき大会の餅は、もち米にこだわっているから美味しいという定評のはずだが、「臼と杵でついた餅、あれはうまい。だけど餅つきはパフォーマンスだから、全部つくのは無理。何時間かかるがわからない。ほとんどの餅は後ろで餅つき機がついている。手でついた餅と機械でついた餅は、やっぱり味が違う。今は美味い餅がどこでも簡単に買えるしね」(A氏)。毎年500キロものもち米を蒸してつくというのだから、餅つき機頼りになっても仕方がない。 臼にしろ機械にしろ、出来立ての餅を丸めているのは手伝いに来ている組員だ。「出来立ての餅でヤケドしそうになって、『早くしろ』と怒鳴られながら、上から下まで粉だらけになって餅を丸めなくちゃいけない。年末で早くしなければならないはわかるんだが、手伝いに出た組員は大変だよ」(A氏)。 餅を丸める組員らを急がせるのは、大晦日までに全国の傘下組織や関係各所に餅を配るため。こんな所にも餅が配られているとA氏が口に出したのは専任の担当者を置いている「ヤクザジャーナルと呼ばれる雑誌」だ。「ヤクザジャーナルといわれる所には、たぶん餅が段ボールは箱で届けられている」。 「ヤクザジャーナルの編集部員はどうなんだか、一般人に組からの餅だと配っても喜ばれない。餅に代紋の焼き印でも押してあれば、みんな欲しがるんだろうけど」とA氏。代紋付きの餅なら、という者は筆者の周りにもけっこういるが、「いらないと捨てられたり、人に食われてしまう餅に代紋は無理か」と口の端を上げた。 「次の餅が届く前に、なんとか消化しておかないと」とA氏は腹をなでていた。