EC事業者が業務で「ChatGPT」を使用する際に知っておくべき「AIの得手不得手」「プロンプト作成のコツ」「注意点」
ChatGPTへの指示「プロンプト」のコツ
「ChatGPT」への指示によって、その結果は大きく内容が変わります。AIから期待する回答を得るために、人間が入力する文章を「プロンプト」と言います。今後、AIが進化・普及する上では、いかに効率よく、的確な答えを引き出せるプロンプトを書けるかがより一層、重要になってきます。すぐに実践できるコツをお伝えしましょう。 ■ 1. 立場を宣言する EC事業者であれば、まず「ChatGPT」に対し、「あなたはネットショップ担当者です」と役割を与えましょう。そうすると、「ChatGPT」はネットショップ担当者として文脈を理解して回答を作成します。 そんなに重要なの? と思う読者の皆さん。「あなたは経営者です」と立場を変えた場合の回答と比較してみましょう。ネットショップ担当者の立場ではオンライン施策が中心となり、一方、経営者の立場ではプロダクトの改良やPR施策まで提案され、ぞれぞれの業務範囲を理解していることがわかります。 □ ネットショップ担当者の立場
□ 経営者の立場
■ 2. 1度で諦めず、前向きに会話しゴールをめざす 「ChatGPT」はすべての会話を記憶しているわけではありません。画面左に出るスレッドごとに、いくつかの会話を覚えています。感覚的には10~20の会話程度は覚えているようです。よって、最初に生成された文章がイマイチだと思ったら、フィードバックをして、改善を求めましょう。 たとえば、「ありがとう。具体的でターゲットに合ったプロモーションプランだね。でも、今回、このプロモーションに1円も予算を使えないんだ。広告費をかけずにできるアプローチで再度提案してもらえるかな」などと投げかけると、前回の内容を踏まえた回答をします。 コツは、具体的に生成してほしいもの、変更して欲しいポイント、その背景を明示すること。GPTは文脈理解が得意なプログラムですから、よりイメージに近い成果物を得られるでしょう。 ■ 3. 6W3Hで具体的に 人間と「ChatGPT」の関係は、よく上司と部下にたとえられます。あなたは上司。今日、新入社員を迎えます。その新入社員は、教養がありかつ日本語が非常に堪能なアメリカ人です。その彼に指示を出してみてください。 また、日本語でイマイチな回答が返ってきていると思ったら、特にGPT-3.5を利用している場合は、英語で指示を出してみましょう。GPT-3.5のベースになっているGPT-3の学習データの93%は英語のため、英語で指示をするとより適切な回答が返ってくることがあります。筆者の印象ですが、翻訳サービスを使ったスムーズな英語でなくとも、英語の方が適切な回答が返ってくる印象があります。 「その調子では、毎回、指示をするためのタイピングが面倒なのでは?」と思った読者の方は、質問を分割するか、音声入力がお薦めです。よく聞くパターンがあれば、質問の定型文を用意しておくのもよいでしょう。 □ 定型文の例 ・曖昧な例(NG例))効果的なプロモーションを教えて ・具体的な例(良い例))あなたは優秀なネットショップ担当者です。今度新製品○○を発売することになりました。ターゲットは○○、単価はXXXX円です。販促予算XX万円で、売上目標の1か月で5000個を達成するような1か月のプロモーションプランを、各週のタスクまで落とし込んで考えてください。 もっと詳しくプロンプトのお作法を知りたいという方は、深津式やシュンスケ式などが有名ですので、検索して参考にしてみてください。 「ゴールシークプロンプト」という「ChatGPT」にプロンプトを考えてもらうという手法もあります。たとえば、「はじめて事業計画書を書くので何を具体的に指示して良いかわからない」という時に有効です。「ChatGPT」がプロンプトに必要な情報を提示し、事業計画書を出力するプロンプトを作成してくれます。「ゴールシークプロンプト」を検索し、参考にしてみてください。 また、英語になりますが、OpenAIとDeepLearning.AIが提携し、プログラマ向けにプロンプトエンジニアリングのコースを公開しています。Pythonの基礎知識がある方は、1時間で完了するコースですので、ぜひチャレンジしてみてください。