山本昌が中日2軍で古田捕手教室をプロデュース
山本昌のチームへの思いが古田教室に
次にキャッチング編。 古田氏は、「キャッチング技術で重要なのはアウトコースと低めのストライクゾーンぎりぎりのラインだけ」という話からスタート。腕を伸ばして前で捕球すると、ミットがぶれやすい、できる限りミットは動かさないほうが、審判もみやすく、ピッチャーも投げやすいというような細かいキャッチング理論をレクチャーした。 熱を帯びた古田教室は約30分間にも及んだ。ヤクルト時代に監督だった野村克也氏に鍛えられ、先日、殿堂入りした名捕手の奥義が、おしげもなく披露され、聞き入っていた選手だけでなく、コーチも、その内容を熱心にメモしていた。 実は、この古田教室は、古田氏の来訪を事前に知った山本昌が、あらかじめ2軍の監督、コーチに了承をとっておいて実現させたもの。昭和40年会で、同じ名球界。山本昌も「せっかく来てくれているんだから同級生のよしみでやってもらった。こういう機会は、なかなかないのでね。ありがたかった。若手からも質問が出ていたしね。僕もキャッチャーの技術論は初めて聞いたけど、あんな大変な高い技術があったとは聞いてビックリした」と大感激。 49歳と6か月。自分のことで必死ではあるが、その一方で、どこかにチームのため、若手育成のために、自分の持つ財産をありったけ伝えておきたいという思いがある。古田氏という親交のある名捕手に頼って古田教室をプロデュースしたのも、そのひとつだ。天然記念物とも言える、お手本が目の前にいるだけで若手にとって得るものは多いだろうが、山本昌だからこその古田教室開講だった。 中日OBでもない、当の古田氏は、「急に言われて戸惑ったけど(笑)、これも昌の人柄だからね。でも秘儀があるわけでもなく、聞かれれば誰にでも答えるというのが僕のスタンス。チームには、コーチの方がいるので、あくまでもこういう考え方や手法もある、という感じで聞いてもらえればね」と、同級生の半ば強引なプロデュースに押し切られた様子だった。