実物の「その人」を知ることから。異色のダンスステージ、その舞台裏
Miyuさんは、今回のステージを作るうえで、「全員が同じ土俵でパフォーマンスをすること」をテーマの一つにした。その考えは、どこから来たものなのか。 「これまでわたしが観てきた障害のある方のパフォーマンスって、どこかパートごとに分けられているような印象があったんです。デフはデフの子だけ、ダウン症はダウン症の子だけ......みたいに。そうすると、『障害があるのに頑張っている』っていう見え方ばかりが助長されてしまう。今回は、全員が一人のダンサーであることを念頭に、振り付けを考えました。実際、わたしが踊るパートには、デフダンサーも高校生ダンサーもいます。振りは同じだけど、それぞれの違いが前面に出ているパフォーマンス。そういった意味では新しいショーなんじゃないかなって思います」 ダンスの大会では「一糸乱れぬ動き」であるユニゾンが評価基準の一つとなっている。しかし、Miyuさんはそれもダンスの魅力である、としたうえでこう続ける。 「動きをそろえることは重視してなくて。わたしが得意としている『ハウスダンス(アップテンポな曲に合わせた軽快なステップが特徴)』は、手の場所もステップの踏み方も自由。その人が感じたことを、感じたままに表現すればいいよってダンスなんです。DAIKIさんのベースにある『クランプ(激しい動きと感情表現が特徴)』というジャンルも、そういう意味では共通するところがあります。だから、最初からすんなり合わせられたのかな」
DAIKIさんも、Miyuさんと初めて顔を合わせたときのことを振り返る。 「知らないを知るに変えることを楽しんでくれる子なんだなって思いました。振り付けを一緒に考える中で、僕の身体では難しいステップがあったんです。そんなときでも彼女は『そっかDAIKIさん、これはできないんですね』と笑い飛ばしてくれる。そういうフラットな姿勢に救われた場面はたくさんあります」 「True Colors DANCE 2024」キックオフの際、DAIKIさんとMiyuさんは一つ目標を立てた。 ショーを成功させてこのチームが解散しても、それぞれの顔を思い浮かべたり、一緒に踊りたいと思えるような関係性をつくりたい――。