実物の「その人」を知ることから。異色のダンスステージ、その舞台裏
DAIKIさんは、児童福祉・障害福祉職に就くメンバーを中心に活動するダンスチーム「SOCIAL WORKEEERZ(ソーシャルワーカーズ)」の代表も務め、この仲間たちと共に、本プロジェクトを推し進めてきた。 「自分の経験を社会に活かしたいと思い、ダンスをきっかけにあらゆる人と交わる場をつくってきました。ダンスは、『できない』を理由にしないんです。『これはできないけど、これをすればできる』という視点がある。障害がある・ないみたいな社会の『壁』も、ダンスなら乗り越えられるんじゃないかなと思うんです」
「障害があるのに頑張ってる」じゃなくて
「True Colors DANCE 2024」にはもう一人、メンターがいる。世界最高峰のバトル大会『JUSTE DEBOUT 2017 WORLD FINAL』でチャンピオンに輝き、世界的ダンサーとして活躍するMiyuさんだ。 Miyuさんは練習を振り返り、驚き混じりにこう語る。 「デフ(※耳が聞こえない、聞こえにくい人のこと。deaf。)の子たちは、周りの空気を感じたり、ビートを感じる能力がすごいんです! 音は聞こえてないはずなのに、完全に踊りこなしている。体で感じているのかなって思います」 「非言語コミュニケーション」とも言われるダンス。リズムを感じたり、身体の動きをまねたりするなどして、言葉がなくても成立しそうに思える。しかし、Miyuさんは実際にダンサーたちと踊る中で、さまざまな「違い」を知ることになる。その「違い」をどのように埋めていったのか。 「最初のリハでは『この振りできるかな?』って、心配しながら教えていました。でもその気遣いが、かえって相手の負担になっていることに気がついて。それ以降は、逆に『気を遣わないこと』を意識しました」 ダンスの振り付けの指導においては、このプロジェクトならではの工夫もあると言う。 「全てをちゃんと言語化するようにしています。たとえば、普段は動きだけで伝えているところを『腕を上げて手はパー、下に持っていきながらクロス』という感じで説明する。それをおざなりにしてしまうと、特にデフの子たちは理解できなくなってしまうので」