トヨタとホンダが初コラボ。クルマとバイクの混合交通を意識した安全運転領域で協力する意図とは?
「二輪車乗車中死者数の状況」(出典:警察庁「交通事故分析資料2023年」)では、相手当事者のうち96.8%が四輪車を含む自動車であると示された。さらにその内訳では、直進する二輪車と右折する四輪車による事故、いわゆる「右直事故」が94.8%。つまり二輪車と四輪車の事故でライダーが亡くなってしまう場合、ほとんどが右直事故であることがわかる。 今回の特別メニューでは、この右直事故の抑制策を3つのシーンから学んだ。
①:交差点を右折待ちしている四輪車の運転席から検証。二輪車との右直事故が誘発されやすいシーンを再現し、事故抑制策を検討。 ②:①と同じ状況を二輪車のライダー視点から検証。右折してくる四輪車の挙動理解を深め、予測運転の立て方を学ぶ。 ③:交差点を直進する二輪車と四輪車の近づき方をドライバー目線で比較して距離感覚をつかみ、二輪車にブレーキ操作をさせない、安全に曲がれるタイミングを探る。 ■実際に起こり得る状況を体験する
①では、たとえば対向する四輪車が自車に右折進路を譲ってくれた際に発生しやすい、いわゆる「サンキュー事故」を状況設定とした。停止してくれた車両の左側(=死角部分)から二輪車が出てくることを想定。ここでは、あわてずにジワジワと進み、右折をゆっくり行うことで二輪車の発見が早まることを確認した。 ②では、①の状況でライダーはどんな状況におかれているのか心理状況を含めて確認した。見通しの悪い状況では早めのブレーキ操作で減速しながら交差点に進入する。またその先も、死角から右折する四輪車がくるかもしれないという予測運転を行いながら、万が一、四輪車が確認できた際に強い減速ができるようニーグリップを中心とした正しいライディング姿勢を保つことが大切であることを学んだ。
③は特別メニューのハイライトだ。交差点を直進してくる二輪車との距離感覚をつかむため、事前に交差点を直進してくる四輪車との見え方の違いについて車速を伏せた状態で体感した。二輪車と四輪車は同じ30km/hで交差点に進入したが、結果、参加者全員が二輪車の速度が遅いと誤認した。 また、四輪車と比較して二輪車は面積が小さいため、四輪車よりも遠くにいると誤認されることが多いとインストラクターから告げられる。事実、今回の講習でも安全に自車が曲がれるタイミングを二輪車と四輪車で比較した場合、参加者の多くが四輪車に対して1秒程度、遅い傾向、つまり二輪車が遠くにいるという誤った距離感覚であることがわかった。