なんとパジェロのデータも使ってた! [三菱トライトン]でラリーに挑んだ勇者の最強テクがスゴすぎる!
■トライトンには1997年のパジェロの足回りデータが活きている!
Q:クイックサポートという役割も担っていたわけですが、実際に助ける場面はありましたか? 「レグ4でスタックした130号車を引っ張った経験が印象的でした。25度くらいあるガレ場の強烈な上り坂なんですが、130号車はフロントのドライブシャフトが折れてFR状態だったんです。2トン近いクルマを引っ張って上り切ったときは達成感がありました。上り切れずに休んでいたバイクの参加者が立ち上がって拍手してくれたことを覚えています」 「それには秘密があって、他の3台のトライトンがレース用ミッションだったのに対し、僕のクルマだけは4WDモードに市販車と同じ『4LLc(センターデフロック&ローギア直結4WD)』が付いていたからできたんです。このときは改めて『トライトンってすごいなあ』と感じましたね」 Q:単純な排気量でいえば、トライトンはAXCRでのライバルたち(トヨタハイラックスREVOやいすゞD-MAX)に劣っています。トライトンの強みはなんだったのでしょうか。 「そうですね。絶対パワーでいえばライバルたちには勝てない。まっすぐな道だとすごく速いんですよ。なのでうちはハンドリングと軽量化で勝負します。曲がりくねったところで取り戻す感じですね」 Q:三菱のモータースポーツといえばパジェロやランエボが思い浮かびますが、そういった歴史の継承というのは行われているのですか? 「社内にはパジェロの活躍を知る世代がぎりぎり残っている状況です。そういった方たちからフィードバックするような取り組みを進めています。実際トライトンの2024年モデルには、1997年にパリダカを戦ったパジェロの足回りのセッティングデータを活用しました。実際走ってみると、足がよく動いて実に乗りやすいんです」 ●トライトンの詳細は
■私はこのクルマでラリーに出たい!
続いて登場するのは、ベストカーWebでもおなじみのモータージャーナリスト、竹岡圭さんだ。竹岡さんは2024年、北海道で開かれたXCRスプリントカップ北海道のXC-2クラスに桃色のトライトン(通称モモ//トン)で参戦し、第3戦ラリーカムイでクラス3位、第4戦ラリー北海道で同4位に入賞を果たしている。 Q:竹岡さん、XCRスプリントカップ参戦までは、すごいタイトスケジュールだったそうですね? 「私は、ラリーアートのドライビングスクールでインストラクターを務めていたこともあって、ずっと『三菱のクルマでラリーに出たい』と思っていました。そんなとき、タイでトライトンがデビューしたのですが、そこでクルマを見た私は『これならいけるんじゃね?』と思ったんです」 「それで、その場で開かれた三菱の社長や副社長もいらっしゃる記者会見で、『私はこのクルマで来年ラリーに出たいです』って思いを伝えました。以来私はずーっと、トライトンでラリーに出たいって三菱じゅうの人に知れ渡るくらいいい続けてきたのですが、なんと今年の3月末、そのゴーサインがいただけたのです」 「とはいえゴーサインは出たものの、(タイで生産される)クルマは来ない、部品はない、さあどうする?ってなって、最後は13日間でロールケージを溶接する突貫工事でラリーに出たんです(笑)」 Q:そんなトライトンで向かった北海道はいかがでしたか? 「いろんな人が『三菱がラリーに帰ってきた』とか『ラリーアートのロゴがまた見れた』とか言ってくださって、みんなも喜んでくれたし私もうれしかった。ラリーのスタート前、帯広駅前でラリーショーが開かれたんですが、そのとき200人くらいの人が列を作ってくださってサインをしたんです。皆さん、昔のラリーアートのTシャツとか着てくださっているんですよ。感激でしたね」