下呂旅行の費用が高くなる!? 2025年10月から“宿泊税”導入、税収は年間1億9,000万円 使い道は「観光振興の財源」、導入決定に賛否の声 岐阜・下呂市
一方、すでに宿泊税を導入している大阪府から訪れた観光客からは、「大阪ではすでにある税なんで、特に違和感ないです。チップ感覚で払ってるようなもの」という声も。
恩恵は3割!? “払う側”が抱える懸念
東京都や大阪府、京都市など全国10自治体が導入している「宿泊税」。宿泊税の使用状況を見ると、払う側がちょっと“モヤっ”とすることもあるようです。 20年以上前に、全国で初めて「宿泊税」を導入した東京都の例で見てみると、宿泊税の収入は年間約44億円(2023年度)。 宿泊税に詳しい、大東文化大学 塚本正文教授の論文によると、宿泊税を負担しているのは、外国人宿泊観光者が23.5%、国内在住の宿泊観光者が76.5%。宿泊税の使用例(※他の税収も併用)は、多言語看板の設置、宿泊施設の充実、観光拠点の整備、海外プロモーションなど、外国人観光客向けやインバウンドを意識したものが多いといいます。 また同論文によると、宿泊税の恩恵を受けている割合も、外国人宿泊観光者が44%、国内在住宿泊観光者が29%という結果に。宿泊税を負担している割合をふまえると、“国内からの宿泊者は7割負担しているのに、恩恵は3割”という状態となっています。
下呂市の宿泊施設からは、こんな声も上がっています。下呂市の中心地から約10㎞離れた『民宿 赤かぶ』。宿泊税導入について、同宿の尾藤政男さんは、「もう実質値上げですよね」と話します。
土日は観光客が泊まり、平日は土木工事の関係者が仕事で利用することが多いというこの宿。単価が低いため、客からすれば「宿泊税」は、実質的な負担が大きいと訴えます。 「外国人だけから取るならまだわかります。円安なんだし。そういうところから取ってください。私らみたいな安いところから取らないで」と、心境を明かした尾藤さん。
外国人観光客だけに、宿泊税をかけることはできるのでしょうか? 大東文化大学 塚本正文教授は、「それは難しい」と答えます。その理由について、塚本教授は、「憲法で“法の下の平等”がうたわれているので、そこに反するということと、もう一つは『租税条約』というのがあって、国籍によって課税上の異なる取り扱いをしないことを外国とも約束しているので、その観点から日本国内で(外国人観光客だけから)税金を取るのは難しいと思います」と説明しました。