お好み焼きを寿司、ラーメンのようなグローバルフードに 五輪で沸いた美食の街パリで日本の食と文化イベント【広島発】
広島のソウルフード、お好み焼きはインバウンド客に人気だが、美食の街パリにお好み焼きを広める取り組みが始まった。パリでの日本文化を紹介するイベントでも好評を博した。 【画像】パリでお好み焼きを
パリにお好み焼きを届ける
パリに広島のオタフクソースが6月、新たな拠点を構えた。その目的はヨーロッパにお好み焼きの味を広めることだ。 オタフクソースの宇佐川絢子さんは、これまで広島から1~2カ月に一度ヨーロッパを訪れ営業活動を行ってきた。しかし、現地拠点を持つことで「フランスの人々にもっと身近にお好み焼きを楽しんでもらえる」と期待を寄せる。 パリでは現在、4軒のお好み焼き店が営業中。宇佐川さんらは、その中の一つ、開業して10年になる「OKOMUSU」を訪れた。この店は鉄板をベジタリアン用に分けるなど、現地の食文化に合わせた工夫をしている。 店の田淵寛子さんは「支店ができて心強い。普段から地元の人とか年配の方が来て、お好み焼きが定着したという実感がある」とパリでのお好み焼き人気を語る。
現地化とオリジナルのハイブリット
現地の食文化に配慮しつつも、オタフクソースが重視しているのは、広島の伝統的なお好み焼きの味をそのまま伝えることだ。 イベントや営業活動では、天かすやソースなどの材料を使い、分かりやすい写真を添えたレシピやメニューをつくり、現地の人にもイメージしやすい工夫を凝らしている。 12月上旬にパリ市内で開催された日本文化の発信イベントでも、宇佐川さんたちはお好み焼きをその場でふるまい、多くの来場者の好評を博した。 宇佐川さんは「現地の味にローカライズするのではなく、広島で食べられる日本のオリジナルな味を届けたい」と広島の味にこだわる。 イベントに訪れたフランス人からは「新しい文化を紹介してもらえれて、とても楽しい時間になった」と反応は上々だった。
フランスで評価されれば欧州全体にも
イベントでは広島、山口の他の企業もそれぞれ独自の工夫を見せた。 山口県萩市の井上商店は海苔を使ったおにぎりをふるまい、岩国市の日本酒「獺祭」の旭酒造もブースを出した。広島県廿日市市のイワタ木工は自社のけん玉で、子どもから大人までを楽しませた。 イワタ木工の岩田知真 代表取締役は「けん玉が成功したら喜ぶのはどこの国でも同じ。楽しんでもらえる姿を見れてうれしい」とけん玉でイベントが盛り上がったことに満足げだ。 イベントに来たフランス人からは、「もともと日本は行ってみたい国だったが、数年以内に必ず行きたいと思うイベントだった」という声もきかれた。 イベントに参加した日本大使館の山谷裕幸公使は「フランスで評価される商品は、ヨーロッパ全体に広がる可能性が高い。フランス進出はブランディングとしても最適」とヨーロッパのマーケティング窓口としてのフランスの意味を強調する。
次のグローバルな日本食をめざす
寿司や天ぷら、ラーメンといった日本食が世界で知られる中、お好み焼きの知名度はまだそれほど高くない。 宇佐川さんは、「日本食のネクストブームにお好み焼きを」とその熱意を語る。 広島のソウルフードの代表と言えるお好み焼きだが、美食の都パリでの挑戦は、単なる味の伝播ではなく、日本文化の多様性をグローバルに伝える試みでもある。 (テレビ新広島)
テレビ新広島