国内でも珍しい黒湯の新潟・岩室温泉 藤井聡太七冠が3年連続対局でファンにも人気 味・旅・遊
広大な越後平野の一角で静かなたたずまいをみせる岩室温泉(新潟市西蒲区)が、国内外の観光客に注目されている。国内でも珍しい黒湯の温泉で、インバウンド(訪日外国人客)にも人気だ。また、将棋の藤井聡太七冠が令和4年から3年連続、岩室温泉で対局しており、ファンが全国から訪れている。 【写真】岩室温泉がある新潟市西蒲区の名物「にしかん・なないろ野菜」 北陸自動車道の巻潟東インターチェンジを降り、田園地帯の道を20分ほど走ると、岩室温泉に着く。温泉街と住宅街が一緒になったような街並みはとてものどかで、通りかかった地元の人が「こんにちは」と気軽に声をかけてくる。 温泉地としての歴史は古く、江戸時代中期の正徳3(1713)年、庄屋の夢の中に白髪の老翁が出てきて、「村はずれの老いた松の下の霊泉に浴すれば、諸病和らぐ」と告げたのが始まりとされる。お告げの場所を探すと、一羽のカリが温泉で傷を癒やしていたことから、源泉を発見したとの言い伝えがある。 岩室温泉に着いたらまず訪ねたいのが、観光案内施設「いわむろや」だ。観光情報の提供や地元名産品の販売のほか、岩室温泉の特徴である黒湯の足湯を無料体験できる。 黒湯の温泉地は国内でも数えるほどしかないといわれる。岩室温泉では、硫黄と鉄が結合して「硫化鉄」となり、その黒くて細かい微粒子によって、湯が黒っぽくなる。「美肌の湯」として知られるほか、神経痛や慢性消化器病、冷え性などに効能があるとされる。 ■グラドル推奨の湯 グラビアアイドルで温泉ソムリエでもある高橋凛さん(34)は9月に岩室温泉のイベントに参加した際、「黒湯は肌触りがとても優しく、心の芯から癒やされる」と解説。美肌効果を高める方法として、「黒湯から上がって10分以内に保湿クリームを塗る」ことを推奨していた。 気軽に温泉を楽しみたい人には日帰り温泉がお勧めだ。足湯もある「いわむろや」から徒歩約5分のところに温泉旅館「越後平野と弥彦連山一望の宿 穂々」があり、レンタルのタオルとバスタオルが付いて1353円で露天風呂などを楽しめる。虫の声を聞きながら入る温泉は、なんとも風情があった。 岩室温泉では最近インバウンドも増えている。老舗旅館「高志の宿 高島屋」の女将(おかみ)、高島基子さん(60)は「海外からのお客さまが黒湯に入ると『インタレスティング(興味深い)』と喜んでくださいます」と明かす。