カナダ、中国製EV巡り新たな関税準備と関係者-米やEUに追随
(ブルームバーグ): カナダのトルドー政権は、中国製の電気自動車(EV)に新たな関税を課す可能性を準備している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。米国や欧州連合(EU)の措置と歩調を合わせる。
カナダ政府は今後の進め方について最終的な決定を下す必要があるが、中国から同国へのEV輸出に打撃を与え得る今回の関税を巡り、意見公募の開始を近く発表する公算が大きい。匿名を条件に当局者らが明らかにした。
中国製EVへの関税を4倍近く、最終的には102.5%に引き上げる計画を先月発表したバイデン米政権に追随するよう、トルドー首相には国内外から圧力が強まっていた。EUも先週、中国製EVに対する関税引き上げ方針を示し、一部に最大48%の関税を賦課すると発表した。
欧米諸国は主要製品で中国の過剰生産への懸念を強めており、サプライチェーンを支配し、西側の産業を損ねる取り組みと見ている。EV大手の比亜迪(BYD)を含めた中国企業がグローバル市場に積極的に進出しているため、EVが主な標的になっている。
オンタリオ州のフォード州首相は20日、低い労働基準と環境に負荷をかけるエネルギーを用いて安価なEVを製造していると中国を非難。トルドー政権に対し、少なくとも米政府に匹敵する関税を課すよう要請した。X(旧ツイッター)への投稿では、「われわれが迅速に行動しなければ、オンタリオ州とカナダの雇用が脅かされる」と訴えた。
米テスラが上海工場で製造した「モデルY」をカナダに輸出し始めた後、中国からバンクーバー港に届く自動車は昨年、約4万4400台と5倍余りに増加。だが、カナダ政府が懸念しているのはテスラではなく、中国メーカーが生産する安価な自動車が最終的に市場にあふれるという見通しだ。
過剰生産
フリーランド財務相の報道官は「中国の過剰供給に対処するため、次のステップを積極的に検討している」としながらも、関税の準備を進めているのかについては言及しなかった。